飲食店開業前のメニュ-作成の考え方について

開業メニュー

次の質問に正直に答えてください。

 

①:無機質な部屋で一人で食べる、一流シェフのフランス料理のコ-ス

②:友人と一緒にわいわい言いながら食べる、彼女の手作りの料理

 

どっちが美味しいと感じますか?

 

味自体で言えば断然一流シェフのフランス料理のコ-スですが、このシチュエーションならば彼女の手料理のほうが断然美味しいと感じるのではないでしょうか。

このように、人が感じる「美味しさ」は、環境、イメ-ジで大きく変わると感じて頂けましたでしょうか?

 

目次

メニュ-作成の考え方とは?

メニュ-作成において最も重視しなくてはいけないのは、「あなたのお店の価値をどのようにして、食べ物、飲み物、雰囲気、を通じてお客さまに伝えるか」ということです。

 

もしかしたら、料理が美味しければそれでいいのでは?と思う人もいるかもしれません。

 

ですが、お客さまは次にあげる5つの要素で伝わっていくのです。

1、視覚

2、聴覚

3、触覚

4、嗅覚

5、味覚

 

お客さまに伝わるように、五つの要素を考えながら演出していくメニュ-を作成しなくてはいけません。

そしてこれら五つの要素の中の味覚は非常にあいまいなものであることも知っておかなければいけません。

環境や体調、さらには好き嫌いなどで、味覚は変わってしまいます。

 

また、食べる前に、美味しいと思って食べるものと、そうでもないと思って食べる料理でも食後の味覚には大きな差が出てしまいます。

例えば、夏の仕事のあとに飲む冷えたビールや、ビュッフェに豪華に並んだ料理などは、「触覚や視覚を刺激する料理だと思います。

 

つまり、五感を刺激する環境や美味しさがお店の商品価値と美味しさ感を高めるのです。

 

どうやって「美味しい」と感じさせるか?

メニュ-を考える作業は、味覚だけを満足させることを意識して作成してはいけません。

腕のある料理人がいるのに失敗するお店は、味覚だけを意識して作っている場合がほとんどです。

逆に繁盛しているお店は、美味しいと感じてもらえるプロデュースがとても上手です。

あなたも再度コンセプトを見直し、自店にとって「最も大切な美味しさ感が何であるか」を考えながらメニュ-作りを行ってください。

 

味覚は曖昧なもの、そしてお客さまは五感で、美味しさ感を感じ価値を感じてくれるのです。

 

どこにも負けない美味しさ感があるメニューを作る

美味しさ感を感じるイメ-ジにはこんなポイントがあります。

 

・季節感

・素材感

・ヘルシー感

・手作り感

・安心・安全感

・鮮度、産地

・イベント(誕生日など)

・空間演出

 

などがあります。

 

料理に魅力を付けるについてみんなが誤解していること

あなたのお店には、来店してくれるお客さまに「美味しさ感」を感じて貰えるための

手順ってありますか?

 

「え?そんなのないよ。」なんていってるとあなたのお店は潰れてしまいます。

 

あなたのお店を潰さないために、あなたのお店の料理を魅力的にして、「美味しさ感」を高めていきましょう。

 

その為の手順をお教えします。

更に料理に魅力を付ける方法もお教えします。

 

美味しさ感を高めるための手順を大公開

美味しさ感を高めるためには3つの手順があります。

その3つの手順を繰り返し実行することでお客さまの美味しさ感は高まっていきます。

 

①:自店のコンセプトに合った「美味しさ感」が何かを考える。

②:その美味しさ感を、より強くお客さんに伝えるために必要な要素を検討する。

③:それを実現するための「具体的な演出方法」を検討する

 

です。

検討するにあたっては、あなたのお店に来店するお客さまによって考えなくてはいけません。

どういうことかというと、

・客層

・来店動機

・お店に期待すること

・提供時間やボリュ-ム

・盛り付けや演出

・高級店なのか、大衆店なのか

・おきゃくさまは高齢者なのか、若者なのか

 

以上のことを踏まえて検討してみてください。

 

もう少し踏み込んで考えてみましょう。

 

お客さまが美味しさ感を感じる瞬間はいつ?

お客さまが美味しさ感を感じる瞬間ってどの瞬間なのでしょう?

実は、4回その瞬間はあります。すべての瞬間を魅力的にする方法を考えていきましょう。まず、その瞬間の4つをお教えします。

 

①:注文前に「これ○○だから食べてみたい」と思わせる

②:提供時に「これ○○で美味しそう!!」と言わせる

③:実際に食べて、「これ○○で美味しい!!」と感じさせる

④:食後に「これ○○で美味しかった!!」と言わせる

 

それぞれの瞬間でお客さまにわかりやすく伝える方法を考えましょう。

 

美味しさ感伝達チェック表でチェックしよう!

4つの瞬間に対してのチェック表を用意しました。

このチェック表を見ながらチェックしてみてください。

 

1、注文時   いかに「これ美味しそう!!」と思わせるか。

・商品説明   美味しそう、食べたいと感じさせる商品説明は出来ているか

・ネーミング  食欲をそそる言葉を使った料理名になっているか

・こだわり   美味しさへのこだわりを分かりやすく説明できているか

・写真     美味しそうな写真になっているか

・調理     炎や音や湯気など、調理の過程をみせているか

・食材     素材の良さをつたえるため、食材を見せているか

・産地     産地はブランド、日本人はブランドに弱い

・季節感    旬の食材は使っているか

・特別感    限定、今だけ、最後の、唯一の、ココだけなどの演出はできているか

 

2、提供時  いかに美味しそうと言わせるか

・盛り付け   たっぷり、どっさり、綺麗、繊細、カラフルなどになっているか

・提供方法   湯気、音、匂い、テ-ブルでの調理や演出はできているか

・提供時間

 

3、食べたとき  いかに美味しいと言わせるか

・冷たさ    冷たいものは徹底的に冷たくなっているか

・温かさ    温かいものは徹底して温かくなっているか

・味付け    なじみのある味に面白さをプラスできているか

・食感     求められる食感を徹底して伝えられているか ツルツル、ぷりぷり、かりかりなど

・香り     香りが大切 鼻を塞いだら味はわからない

 

4、食後  いかに美味しかったと言わせるか

・量      量の不足は満足感を著しく減少させる そうなっていないか

・感想を聞く  おいしかったと言わせているか

 

チェック表上手に使ってあなただけの魅力を加えてください。

 

料理に魅力をつけるとき一番大事なことは

もしあなたが、開業してからず~と新規のお客さまだけでお店を成り立たせる自信があるのなら、この記事はあなたのお役には立てないでしょう。

 

なぜなら、

今回の記事は、お客さまの記憶に残り、リピ-トしてもらえるような、魅力的なメニュ-を作るための方法をお教えしているからです。

 

率直に言って、新規のお客様だけでは、利益を上げるのは難しいでしょう。

なぜなら、新規集客にかかる広告費が一番お金がかかるからです。

 

新規集客が重要なのは当然当たり前の話なのですが。

リピ-トしてくれるお客さまが多いいほうが、利益を増やすという面では優れているということです。

 

例えば、栓をしていない、風呂桶に水をどんどん注ぎこんでいる状況を想像してみてください。

水は新規客です。

簡単に想像できるかと思いますが、栓をしていないので水は溜まりません。

リピ-ト客は栓です。

なので集客は栓をした風呂桶に水を溜めていくというのが正しい姿ではないでしょうか。

魅力的なメニュ-を開発することが、リピ-ト客を増やし、風呂桶に栓をするということに繋がるのです。

 

また、名物料理・看板料理には、必ずと言っていいほど、お客さまの「記憶に残る仕掛け」が施されています。

記憶に残れば残るほど、リピ-トに繋がるからです。

 

事実、味覚は「舌」で感知しますが、美味しさは「脳」で感じます。

美味しさを記憶に残してもらうためには、美味しさの印象を強める必要があるのです。

 

料理・食材に演出を施していく!

記憶に残る魅力的な料理を皿の上に表現する際には、

・極端に徹底的に

・分かりやすく伝わりやすい方法で

・こだわって突き詰めて

行うことが大切です。

 

例えば、グルメ番組に人気があるのはこういった要素を徹底的に取り入れた演出を行っているからです。

視聴者は実際に匂いを嗅いだり、食べてみたりすることが出来ません。

なので、視覚だけで、勝手に想像できるようにしているわけです。

 

演出には優先順位がある

前号で、五感についての説明をしました。

お客さまは、五感すべてを使って、美味しさ感を感じているからです。

 

お客さまに伝わりやすい五感の順序とは

①:見た目(視覚)・・・大きさ、長さ、色合いなど
②:食感(触覚)・・・食べたときの食感を分かりやすく
③:匂い(嗅覚)・・・匂いを出す、強める
④:味(味覚)・・・味のメリハリをはっきりさせる。その料理に求められる味に変える。
⑤:音(聴覚)・・・鉄板や石焼の音、氷の音など

 

考えるときに役に立つ料理別「美味しさ感」一覧

 

・麺料理・・・こってり、濃厚、あっさり、懐かしい味、ツルツル、しこしこ、のど越し

・とんかつ・・・パン粉の立ち方、サクサク、ジュ-シ-、肉の厚さ、揚げ色、食感

・寿司・・・とろける、こりこり、鮮度、脂の乗り具合、職人の技、仕入れ先、旬

・天ぷら・・・サクサク、油の風味、揚げ音、さっぱり、調理技術、産地、旬

・定食・・・ボリュ-ム、ご飯に合う、いろいろ選べる、おふくろの味、家庭の味

・ステ-キ・・・香り、ソ-スのこげた香り、鉄板からの音、肉の厚さ、脂の乗り具合

・焼き鳥・・・きれいな焼き色、香り、塩加減、食感、歯ざわり、ジュ-シ-

・餃子・・・焼き色、熱々、肉汁、カリカリの食感、ジュ-シ-

・お酒・・・飲みやすい、香りがよい、色がきれい、有名ブランド、雰囲気

・コーヒ-・・・芳醇な香り、香り豊かな、豆のブレンド、落とし方、カップ

・ケーキ・・・さっぱりしている、甘さひかえめ、濃厚、しっとり、ふんわり、ふわふわ

など

 

 

すぐに使えるメニュ-作りの手順テクニック3選

①:コンセプトに合わせたメニュ-作り

メニュ-内容の具体的な決定はコンセプトに添って行ってください。

・誰に(タ-ゲット)

・いつ(曜日や時間帯)

・いくらで(客単価と皿単価)

・どのように(利用動機や楽しみ方など)

食べて貰うかを考えながらメニュ-内容を検討しましょう。

 

②:メインメニュ-作り

「強烈な個性」を持つメインメニュ-を開発するうえで欠かせないポイント

・コンセプトに合致していること

・「美味しさ感」があること

・「独自性」が明確であること

 

メインメニュ-を考えるときに勘違いしてはいけないポイントがあります。

それは、変わった料理、珍しい料理で個性を出そうと考えることです。

「強烈な個性」というのは、そういったことではありません。

ここでいう、「強烈な個性」というのは、「分かりやすさがあるか」という点。

それは、誰もが知っているなじみのあるものに、「創意工夫やこだわり」をプラスして価値のある商品に仕上げるということです。

 

③:サブメニュ-作り

サブメニュ-を作成する際には、以下の点を考慮して作っていきます。

・コンセプトに合っているか

・メインメニュ-を引き立てるものになっているか

・店舗の楽しさ向上に役立っているか

・バラエティ、選択肢を広げるものか

・メニュ-全体の整合性はあるか

・分かりやすいか

・珍しい、面白いメニュ-もあるか

・店舗のこだわり、思いを伝えるものか

・店舗運営上問題とならないものか

 

などです。

 

飲食店のメニュー作り 最後のポイント

それは、カテゴリごとに考えていくということです。

なぜカテゴリごとに考えるのかというと、お客さまはカテゴリ分けされたメニュ-があると、その中から一品注文しようと考える人が多いからです。

 

カテゴリごとの作成ポイントを挙げておきます。

1、おつまみ類 いろいろ楽しめることが大切

2、サラだ類  女性客を意識する

3、前菜類   最初に出る料理=料理全体の第一印象を決める

4-①ランチメニュ- ビジネスランチは「早い」「お値打ち」「飽きない」

4-②ランチメニュ- 主婦向けランチはお得感

5-①お食事メニュ- ラ-メン店 味のインパクトと麺の量が大切

5-②お食事メニュ- 居酒屋   「〆」の一品

6-①アルコ-ルメニュ-お酒中心の店  顧客満足と利益の源泉

6-②アルコ-ルメニュ-食事中心の店  注文しやすさが大切

7、ソフトドリンク  女性向けの店では差別化要因

8、デザ-ト     客単価と満足感の最終仕上げ

 

となります。

ざっくりとまとめましたが、あなたのお店のメニュ-作りにお役たてください。

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この記事を書いた人

これまで、20代前半より8店舗のお店をオープンしてきました。銀行などから融資を受けることなく無借金で10年以上経営するも、自分の将来が見えなくなってしまったため、全て従業員や知人に売却。

その後、店舗の開業、店舗展開に携わり、これまでオープンしてきた店舗は100を超えます。

また、集客の専門家でもあるため、全国各地より『集客支援』の依頼が絶えず来ており、これまでサポートした個人事業主・企業様は500件以上となっています。

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