開業時に行う物件探しの方法〜店舗や看板の視認性を考える〜

立地調査 動線

あなたのお店の直前までいけば、あなたのお店が見えるのは当たり前のことですよね?

しかし、あなたのお店を人が自然に知覚しているかどうかは別問題です。

なぜなら、あなたのお店が、人々から同じ様に見えているわけではないからです。

 

例えば、いつも通っている道沿いに大きな看板があったとします。

その看板のお店や企業の名前は覚えていますか?
優秀なあなたは、毎日通っているので、もちろん覚えていますよね?

 

でも普通の一般人は、毎日通っている道の看板や、よく利用するお店の2軒隣のお店がなんだったかすら覚えていないのです。

 

目次

視認性とは何か?

視認性とは、物件を探す際に、動線と並ぶ程重要なポイントです。

そして、視認性とは、商圏内にいる人の店舗認知に関わる決定的要因を言います。

 

理想的な視認性とは?

どんな状態の誰からも、あなたのお店も看板も、他の背景とは完全に区別されて自然に見える状態のことをいいます。

 

視界性は、

・どんな人から見えるのか

・どんな状態で見えるのか

・何が見えるのか

などを考えながら調べていくことです。

 

どんな人から見えているか?

見る基点と見る主体の状態について

 

見る基点

・駅

・大型商業施設

・小売店の出入口

・大型交差点

などから見えるか?

 

見る主体の状態

・店舗や看板を見て購買活動を決断するまでの時間は7秒ほど

・人の時速は約4km、7秒間で8m進む、つまり10m手前から店舗や看板が見えている必要がある

・人の視線はやや下向き

・人の視線はやや店側にいく

・歩道の状態や形、通行量によって変化する

などがあります。

 

つまり、見る主体の状態とは、通行人の視界で「見える」とはどういうことか、ということを言います。

また、周辺を知覚しやすい状態、しにくい状態があります。

 

知覚しやすい状態

・動いている状態ではなく静止している状態のこと

・信号のある交差点や横断歩道

・バス停や案内地図

これらの場所から、店舗や看板が見えるということは視界性が比較的良好と言えます。

 

しにくい状態

・坂道

・多数の車や人がすれ違う場所

・数多くの看板や店が並んでいるところ

などは知覚しにくいといえます。

 

また、若者グル-プやカップル、営業マンなどは、お互いに話すことに夢中だったり、考え事をしていたりと、歩いているときはあまり周囲に意識を向けません。

このような人たちが多い場所では、通行人にとっては「見えない」物件となってしまうこともあります。

 

視認性のある物件を選ぶために・・

 

やはり、物件を借りるときは、目立たない物件より目立つ物件を選びたいものです。

しかし、個人的主観をなくしたとき、色々な疑問が湧いてきます。

 

例えば、

・どこから見えていればいいのか?

・どんなものが見えなくしているのか?

・通行人はなぜ気づかないのか?

 

このような疑問であれば、「視界性」ということを、理解することで解消することができます。

視界性の中で今回は、「視界障害」「視界融合」「視界退行」「看板は誰に見せるためのものか」についてお伝えしていきます。

 

物件を借りる前にやっておくべき視界障害の調べ方

大草原の小さな家のように周りに何もないところにあなたの物件があれば、360度どこからでもあなたのお店は見付けて貰えると思います。

しかし、残念ながら、たいていのお店は何かに遮られています。

 

何かに遮られて、歩行者から見えにくい状態のことを、「視界障害」といいます。

 

視界障害を確認する為には、3段階の確認方法があります、

(○):物件前を通るほぼすべての人に見える

(△):2割くらいの人に見えない可能性がある

(×):3割以上の人に見えない可能性がある

 

このチェックを、4つの点で調べていきます

①:物件直前10m

②:反対側方向の10m

③:TG(交通発生源)から

④:TG(交通発生源)に向かう動線から

という4つの点で3段階のチェックをして行きましょう

 

次に、視界障害を引き起こす原因となるものの具体例を挙げていきます

・街路樹

・他店やビル

・他店の看板やのぼり旗

・放置自転車や往来している自動車

・電柱や電線

・駐停車している運送車両

・陸橋の橋脚

などになります。

 

以上の点に気を付けながら実地調査を行ってみてください。

 

視界融合で知っておかなくてはいけないこと

視界を妨げ、店を隠すものは障害物だけではありません。

店舗とその背景との関係から自然に見えたり見えなかったりするという現象があるからです。

主に2つのそういった現象があるのでご紹介します。

 

・色彩融合

例えば、背景に暖色系のいくつもあるところで、暖色系の看板は認識することが出来ません。

また、白字の袖看板は背景の空の白と融合して見えなくなります。

このように背景の色と融合して認識出来なることを、色彩融合といいます。

 

・フォルム融合

フォルムとは形の事をいいます、四角い形がたくさんあると、その中にある丸や三角は知覚出来ても、正方形や長方形は知覚しにくくなります。

つまり、四角い看板が複数見える場合や、丸い看板の近くに丸い標識がある場合、それらがまとまって見えてしまいます。これがフォルム融合です。

 

視界融合の影響を考えた場合、色、形、大きさ等様々な工夫が必要になります。

 

 

視界にあるのに気付かれない「視界退行」

視界退行とは、強い印象を与える別の知覚対象がある場合や、看板は見えていても、店自体が離れているため、相対的に店が知覚しにくくなる現象の事をいいます。

 

例えば、

・あなたのお店の看板より大きく派手な看板があなたのお店の手前や後ろにある場合

・あなたのお店の近くにネオンや照度の強い店などがある場合

・マクドナルドやコカ・コ-ラ、SONYといった有名なブランドの看板がある場合

・ロードサイドでは、道路標識や案内標識、信号機がある場合(ハロ-効果を起こしやすい刺激物)

こうした、刺激物に、あなたのお店やお店の看板が挟まれているときは要注意です。

 

“視界退行は無意識化でおこるやっかいなもの”

強い刺激物から、別の刺激物に移動することを、サッカ-ド(飛躍的眼球運動)といいます。

この眼球運動が起こる際、その間の障害物はほとんど知覚されないことが知られています。

 

この現象は無意識化で起こるものなのです。

視界性を調べる際には、そこを通る通行人の意識に立ち返ってチェックしていきましょう。

 

 

店舗看板やファサードは、誰に見せたいのか?

看板はあなたのお店に気付いて貰うためにある。

店舗に取ってこれほど重要な設備はありません。

看板の作り方一つで、売上げは大きく変わってきます。

 

例えば、衝動来店のお客様であったり、目的来店のお客様にとっても看板に気付いて貰えなければ、来店動機は生まれません。

特に日本の立地では、看板が重要な役割を果たします。

なぜなら、店全体が見えるような好立地が少ないからです。

特に繁華街や都心部では、看板なくして、あなたのお店を知覚することは不可能に近いと言わざるを得ないでしょう。

 

もう一つ考えて欲しいことがあります。

看板は、店の間口に掲げるものと固定観念があるようですが、これは間違いです。

間口の上に掲げたところで、あなたのお店の前を通る人に自然に見えるものではないからです。

 

あなたのお店のことを知らない一般の人の立場に立って、店の前を歩いてみる事が大切です。

 

店舗看板を設置する前に・・

看板の効果は、なかなか測定しにくいものですよね。

実際は、看板を付けた場合どれくらい店が見えるようになるのか、その客観的測定すらほとんど行われていません。

 

看板効果についてハッキリ言えることは、2倍見えるようになったからといって、売上が2倍になるというわけではない、ということです。

 

ここまで読んでみると、どんな看板を設置すればいいのか?

まったくわからないですよね。

そこで、大きな看板効果が期待できる方法を次に上げていきたいと思います。

 

大きな看板効果が期待できるのは、一般的には次のような場合です。

・「たまたま通りすがり」(衝動来店)で来店している人の割合が高い場合

・それまで人の通るとところから、ほとんど見えていなかった場合

・看板をつけることによって、知覚上の大きな変化が生まれる場合

 

以上のような場合、最低でも、10%~200%の売り上げ増が認められるという結果報告もあります。

 

このようなことを考えながら店舗看板を設置していきましょう!

 

 

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この記事を書いた人

これまで、20代前半より8店舗のお店をオープンしてきました。銀行などから融資を受けることなく無借金で10年以上経営するも、自分の将来が見えなくなってしまったため、全て従業員や知人に売却。

その後、店舗の開業、店舗展開に携わり、これまでオープンしてきた店舗は100を超えます。

また、集客の専門家でもあるため、全国各地より『集客支援』の依頼が絶えず来ており、これまでサポートした個人事業主・企業様は500件以上となっています。

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