開業する前に・・店舗は立地が全てです!

開業 立地

ここまでの記事をいくつか読んでいただいてるあなたは、すでに開業するにあたって、立地の重要性に気付かれていると思います。

過去、国税調査、商業統計調査、事業所統計調査、メッシュ統計などの立地を決め、売上予測をするための統計の数値の使い方を学んできました。

 

今回は、更に進めていきたいと思います。

 

マ-ケットポテンシャルは、統計デ-タを使って知ることができます。

 

ここでいう、マ-ケットとは、「街の購買力」のことを言います。

これが大きければ、どんな商売にも有利です。

逆に、小さければ、どんなに努力したところで、商売はきわめて難しくなります。

マ-ケットの大きさが商売や売上の上限を決めてしまうのです。

 

目次

マ-ケットポテンシャルを掴むには?

あなたの地域のマ-ケットポテンシャルを掴むには、商業統計デ-タを参考にします。

その中の、「小売業年間販売額」という項目をひとつの目安にします。

 

この小売業年間販売額とは、実際にその周辺で、使われているお金の量を示す指標です。

 

商圏内の人口を見るよりも、この小売業年間販売額を見るほうが、商圏の規模を把握するのに適しています。

 

例えば、人口が多かったとしても、住民の多くが、買い物をする時に地元ではなく外部に出かけて行ってしまうような地域だと、ポテンシャルが大きいとは言えません。

その点小売業年間販売額は、実際に使われているお金の額なので、商業的に栄えているかどうかが分かります。

 

マ-ケットポテンシャルは、最低でも小売業年間販売額が50億円以上が商売をする上では望ましいと言われています。

 

これは金額でマ-ケットの名称が変わりますので参考までにご紹介します。

2000億円以上ある地域を、「超広域マ-ケット」

800億円以上ある地域を、「広域マ-ケット」

200億円以上ある地域を、「中域マ-ケット」

200億円以下の地域を、「スモ-ルマ-ケット」

と呼ばれています。

 

最後に事例として、よく知られている駅の最寄りの3次メッシュ(約1km四方)内の小売業年間販売額をご紹介します。

 

集計中心地   最寄り3次メッシュ内小売業年間販売額

札幌駅                  2,039億円

仙台駅                  1,602億円

千葉駅                   970億円

新宿駅                1兆1,872億円

池袋駅                  5,314億円

渋谷駅                  3,385億円

有楽町駅                 5,909億円

大宮駅                  1,742億円

横浜駅                  3,639億円

金沢駅                   524億円

名古屋駅                 1,514億円

京都駅                  1,308億円

なんば駅                 3,026億円

大阪駅                  4,559億円

神戸駅                   665億円

倉敷駅                   311億円

広島駅                  1,464億円

松山駅                   350億円

小倉駅                  1,713億円

博多駅                  1,216億円

(2004年商業統計メッシュデ-タ)より

 

地域の性質を示す経年推移デ-タはもっとも役立つデ-タ情報

あなたは開業前に、統計デ-タを事前に調べておくということは既にご存知だと思います。

[getpost id=”1723″][getpost id=”1703″][getpost id=”1698″]

そして、人口よりも、小売業年間販売額を知ることの方がマ-ケットポテンシャルの高い地域のほうが良いことも知りました。

 

今回は、あなたが考えている地域の性質を知るために必要な、経年推移デ-タについてご紹介していきます。

 

小売業年間販売額と今回の経年推移デ-タを比較検討することで更に細かくその地域の性質を知ることができます。

 

商圏の人口が増加していることは、需要が増加していることと同義と考えてください。

なので、人口が増加している商圏は商売をするのに、良好と言うことができます。

反対に人口が減少している商圏は、立地上も要注意だといえます。

 

ただし、いずれの場合も年齢別人口を調べておく必要があります。

年齢別人口での見方は、

・若年人口

・生産年齢人口

・老齢人口

という風に見ます。

 

なぜ、このように細かく見るのかと言うと、

どの年齢の人口が増えている、減っているかで商圏の様相はまったく異なってくるからです。

事例として、商業的に活発化している商圏の特徴についてご紹介します。

それは、来店客のその直前の行動と直後の行動をしることで理解できます。

 

次にあげるデ-タをご覧ください。

・自宅⇒店⇒自宅:6050人(32%)

・自宅⇒店⇒所用先:5827人(31%)

・所用先⇒店⇒自宅:3847人(21%)

・所用先⇒店⇒所用先:2925人(16%)

(和食レストランチェ-ン店来客数:21205人 2002~2003年23店舗)

 

上記のように、飲食店に来るお客の直前・直後の行動を調査した結果、実に7割が、

所用先へ向かう途中か、所用先からの帰り途中に立ち寄っていることが分かります。

 

次のデータをご覧ください。

所用先の内訳

・買い物先:50%

・公共施設:10%

・地域娯楽施設:9%

・仕事先:19%

・その他:12%

となっています。

ここで注目してほしいのは、所用先の過半数が、「買い物先」ということです。

 

2つのデ-タから、商業的に活発化している商圏と言うのは、それだけお客さまが買い物ついでに来店する頻度も高くなるのです。

こうした、推移デ-タを見ながらその商圏の質がどのように変遷しているのかの仮説を立て、実地調査で現地を確認するのです。

 

これを繰り返すことで、商圏を見極める力がついていきます。

 

あなたが開業するお店は、誰に来店してほしいのか決まっていますか?

 

そんな「まだ開業もしていないのに決まって無いよ!」もしくは、「誰にってみんなに来てほしいよ!」「売上になるなら」「店の前を通る人なら誰でも来てほしい!」なんてバカみたいなことを考えているあなた!

残念ながらそれではお店を潰してしまいます。

 

すべての繁盛店は、必ずタ-ゲットを意識しています!

なので、もしあなたがお店を繁盛させたいと真剣に考えているのなら、この「タ-ゲットを決める」という作業は必ずやるべきことです。

しかも、開業する場所を決める前にです。

少し話を整理してみましょう。

 

現時点で分かっていること、

・あなたのお店で一番売れる商品が決まっている。

これだけです。

 

分かっていないこと、

・一番売れるであろう商品は誰が買うのか?

・その誰かは、どんなサ-ビスを喜んでくれるのか?

・その誰かは、どこにいるのか?

これが分かっていないと、あなたが一番売りたい商品は売れません。

 

そして、そのことを決めておくべき時期はいつなのか?

それは、開業前です。細かく言うと立地を決める前です。

 

もしあなたがまだ開業していないのなら、このターゲットを今すぐに決めてください。

もうすでに開業しているなら、今からでも遅くありません。

今すぐ来店顧客のターゲットを決めてください。

 

来店顧客のタ-ゲットを絞ろう!

“オ-ルタ-ゲットを目指してはならない”

最初にこのことをお伝えしておきます。

なぜなのかを説明します。

・どういう商品を提供すべきか?

・どういうサ-ビスを提供すべきか?

・それを、どのように売っていくのか?

という、肝心なことを計画出来無いからです。

 

タ-ゲットは絞れば絞るほどいい、とされるのはそのほうが、あなたが、何をしたらいいか、より具体的になるからです。

ただし、あまり細かく絞りすぎてしまうと、今度はどうやってそのタ-ゲットを見つけたらいいかが分からなくなります。

 

最も有効な絞り込の方法は?

それは、国勢調査の統計デ-タを基準にすることです。

国勢調査で分かることは、

・人口

・男女別

・年齢別

・世帯別

・何人家族か

・単身世帯はどのくらいか

などが分かります。

 

年齢別人口を見る!

中でも、男女別の年齢別人口は最も有効な指標になります。

年齢別人口のデータは、0歳~4歳、5歳~9歳というように、5歳刻みで見ることができます。

 

例えば、大手ハンバ-ガ-のM社がターゲットとした年齢層は、0歳から49歳までの男女でした。

勿論、これをさらに細分化して、それぞれの層に別々に働きかけながらブランドを確立していったのは有名な話です。

もしあなたが商売をするとしたら、タ-ゲットはどの年齢層でしょうか?

 

例えば、20~39歳を対象とするような商品を扱うとします。

そのとき、いかに総人口が多い地域でも、20~39歳の人口が少なければ、収益はそれほど見込めないかもしれません。

あなたの開業するお店にとって、「おいしい」商圏となるのは、あなたがターゲットとする年齢の人々が多く住んでいる地域です。

 

また、その反対に、その地域で最も比率の高い年齢層を調べ、そこをタ-ゲットにして商品や業態を考えていくという戦略もあるでしょう。

タ-ゲットを絞りこむことで、あなたのお店のロスや広告宣伝費、コンセプトや理念、店内デザイン等、多くのものが変わってくるはずです。

 

あなたの商圏のタ-ゲットの年収って知りたくないですか?

あなたが、開業前に店舗探しをしているときに、この地域のターゲットの所得水準や給料って、どのくらいだろうと思った事はありませんか?

実は、この所得水準は実際に調査されています。

 

それは、「住宅・土地統計調査」というものです。

この調査は5年に1回、国が行っています。

日本にいる人全員を調査対象にした国勢調査とは異なり、サンプルを無作為に選んで調査しています。

 

この調査の結果を見ると、

・年収別にどのくらいの世帯があるのか

・全国の市区町村別にどのくらいの世帯があるのか

が分かるようになっています。

勿論、この統計結果は、国がすべて公表しています。

 

この「住宅・土地統計」結果の難点は?

この調査結果の難点は、「市区町村別」であるところです。

あなたが知りたいのは、店の周辺の所得水準であり、市区町村の所得水準ではないからです。

これを知るためには3次メッシュや4次メッシュ別のデ-タがなければいけません。

 

参考指標にするぐらいで丁度いい!

先程、調査結果の難点は市区町村別であると言いました。

では、どうすればいいのか?とあなたは思われたかもしれません。

どうするのかというと、推計することです。

 

推計するには主に国勢調査を用います。

国勢調査は、市区町村別にも、メッシュ別にもデ-タが整理されています。

 

そこで、

・市区町村別に国勢調査と土地統計調査の関係性を分析する

・統計的に分析することで、国勢調査のデ-タで年収別世帯数を算出する計算式を作る

・計算式を使って、メッシュごとに国勢調査データから年収別世帯数を推計する

という流れになります。

 

ただし、あくまで推量ですので地域住民を知るうえで参考指標にとどめるべきでしょう。

 

 

開業前にやっておく実地調査で見るべき3つのポイント

開業を決意したあなたは、絶対に繁盛させたいそんな気持ちでいるのではないでしょうか。

熱い気持ちを持つことは大切です。

その情熱があなたのお店に乗り移るからです。

 

ですが、店舗をどこに出すかを決める時は、少し引いた場所から冷静に状況を把握することをお勧めします。

 

 

ポイント1-1 実地調査で見るべきポイントTG

TGとは「トラフィックジェネレ-タ-」の略です。

交通発生源と訳します。

 

多くの人が集まり、出入りするような施設または場所になります、具体的には、

・駅

・バス停

・大型小売店

・大型交差点

の事を言います。

 

あなたが見つけた物件の近くにTGがあるかどうかをまず最初に探しましょう。

 

ポイント1-2 実地調査で見るべきポイント動線

TGがあると、TGとTGの間を往来する人々の動きが発生します。

これを「動線」といいます。(日常生活行動線)

仮に、物件がTGから離れていても、動線上にあるならば十分な場合もあります。

 

ポイント1-3 実地調査で見るべきポイント視界性

視界性とは、TGや動線を行き来するする人々が、自然な視線で物件を知覚することが出来るかどうかを、「視界性」と言います。

もしあなたの物件の近くにTGがあり、物件自体も動線上にあり、視界性もよいという、3拍子揃ったものであれば、それはとてもよい物件だといえます。

 

視界性についての注意点

・客観的に見れていない場合がある

・あなたは既に物件がどこにあるか知っているから

・店の存在を知らない人でも気づくかどうか

・動線上を何度も歩く

・TGに立ち止まってみて視界性を確認する

などが注意点になります。

 

ポイント2 実地調査で見るべきポイント建物制約

建物制約とは、

・柱の太さ

・階段の勾配

・色々な設備の位置

このように店舗の営業にマイナスの影響を及ぼす建物の構造のことを「建物制約」と言います。

 

多くの場合、物件は何かしらの問題点を抱えています。

売上にあまり影響がないようなことならば多少は目をつぶってもいいでしょう。

ですが、建物制約は往々にして大きな問題になりかねないので妥協すべきではありません。

 

ポイント3 実地調査で見るべきポイント同業店

同業店で見るべきポイント

・どこに出しているのか

・どんな商品をだしているのか

・どんなサ-ビスをしているか

・どちらがTGに近いか

・どちらが動線上にあるか

・どちらがより建物制約を受けているか

などです。

 

同業店は必ずあなたのお店に取ってマイナスに働くことはありません。

なぜなら、自店舗のお客さんを奪っていく一方で、自店舗と一緒に周辺から人々を引っ張っていく有力な味方になる場合もあるからです。

 

いずれにしても、同業店の状況をあなたのお店と比較して検討しておかなければ、市場拡大の判断は出来無いので、しっかりチェックしておきましょう。

 

開業前にやっておきたい実地調査の注意点

まとめると、

・あなたの選んだ物件の近くにTG(トラフィックジェネレ-タ-)はあるのか?

・TGとTGを結んだ動線上にあるのか?

・TGから見てあなたのお店はどう見えているのか?または、動線上からどう見えるのか?

・あなたの物件の柱や勾配、などは営業に深刻な影響はないのか?

・同業店はどんな商品・サ-ビス・TG・動線・建物制約などはどうなのかをあなたのお店と比べてどうなのか?

 

以上が、実地調査で見るべきポイントとなります。

 

実地調査の前に見ておくと便利なグ-グルマップの使い方

あなたもよく知っているGoogleMap(グーグルマップ)を使って実地調査の前に調べておくといいものを今回はご紹介してみたいと思います。

商圏分析ツ-ルになるグ-グルマップ!

商圏分析をする際に、グ-グルマップと一緒に使いたいツ-ルとしてゼンリンの地図ソフトというものがあります。

パソコン上で使うツ-ルとして、とても優秀なゼンリンの地図ソフト、

優秀な点としては、

・地図の表示スピ-ドが早い

・操作も簡単

・情報量も多い

・タウンぺ-ジの情報が満載

・同業店の位置を地図上に簡単に表示できる

などの良い面があります。

他にも色々とありますが、これだけでも十分伝わったのではないでしょうか。

商圏分析をする際には揃えておきたいツ-ルの一つです。

 

そして、ゼンリンの地図の良いところも無料で使える最強のツールがグーグルマップです。

 

グ-グルマップは、

・住所を打ち込めば瞬時に調査したい場所が表示される

・上空からの画像が映ります

・マウス操作で地図の拡大縮小が自在に出来る

・民家の密集状態

・河川の大きさ

・工場の大きさや形

・学校の正門のある場所

・道路に中央分離帯があるかどうか

・横断歩道はどこに引かれているか

・街路樹は多いか少ないか

までも把握できます。

 

もしかしたら、今挙げたことについてあなたは、こんなの当たり前じゃないかと、思われているかもしれません。

しかし、ほんの数年前までは現地いかないと分からないことでした。

それが、今では自宅や会社にいながらにして分かってしまいます。

 

ストリ-トビュ-を使って地域の雰囲気を知ろう!

グ-グルサ-ビスの一つに「ストリ-トビュ-」があります。

 

特徴は、

・自動車が走行可能な道から見えるすべての景色が映し出される

・物件周辺の雰囲気を知ることができます

・郊外のロ-ドサイドからの車中、通行人の目線で見ることが出来る

・街中の商店街でも、車中、通行人の目線で見ることが出来る

・物件を見えにくくさせる街路樹や看板などの有無がわかる

・物件の間口や入りやすさなどがわかる

・周辺の状況を通行人の視点に立って把握することができる

・物件周辺だけでなく街並みや住宅を観察することができる

他、

これだけあれば、立地調査には充分です。

 

上記の内容を観察することで、次のようなことが理解できます。

・住民の質を予想することができます

・立て替えや、リペイントで家々メンテナンスがいき届いた地域・街であれば住民の品が

高いと考えることができます。

このように、パソコン上からでも観察できることで時間の短縮ができます。

 

ただし、ストリ-トビュ-を利用して観察し商圏について何らかの印象を持ったとしたら、必ず統計データを調べて裏付けを取っておく必要があります。

 

忘れていけない、実際に現地を見てみよう!

グ-グルマップやストリ-トビュ-で確認し観察したとしても必ず実地調査は行いましょう。

というのも、交通量や店の混雑具合などは現地に足を運ばない限りは分からないからです。

 

グーグルマップを活用しよう

昔は、お金と労力を使って飛行機で上空の写真をとって商圏の調査をしていました。

たった、20年前の話です。

そう考えると、グ-グルマップは素晴らしいツ-ルといえるでしょう。

今後の店舗開業においてなくてはならない物でしょう。

しかし、必ず、実地調査を行うことや、統計デ-タを使って裏付けを取ることは忘れてはいけません。

使い分けが必要ということですね。

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

これまで、20代前半より8店舗のお店をオープンしてきました。銀行などから融資を受けることなく無借金で10年以上経営するも、自分の将来が見えなくなってしまったため、全て従業員や知人に売却。

その後、店舗の開業、店舗展開に携わり、これまでオープンしてきた店舗は100を超えます。

また、集客の専門家でもあるため、全国各地より『集客支援』の依頼が絶えず来ており、これまでサポートした個人事業主・企業様は500件以上となっています。

目次