郊外のテナントや店舗を開業・出店する前に・・

郊外テナント

郊外への出店を考えるときに、知っておきたい基本の商圏範囲やTG(交通発生源)の見付け方などをご紹介してきます。

 

目次

郊外立地は「車で5分」が基本

郊外立地の場合、店まで「車で5分」の商圏を想定することが基本となります。

通常は、半径2km~3km円といったところでしょう。

 

商圏とは、「日常的に、たしかに来店してくれている範囲」でなければなりません。

その範囲は多くの調査の結果、「店舗を中心として、概ね半径2km」ということが分かっているのです。

 

5分間ドライブで商圏調査

郊外立地の物件を調べる際には、お客さまであるドライバ-になりきって、実際に走行してみる必要があります。

確認するポイントを上げて見ましょう。

・物件を中心に5分間でどこまで行けるか

・交差点や信号待ちも実際に考慮して行う

・踏切や橋梁・渋滞などがあるところも見ていく

・道路に沿って、少なくとも3往復は行う

・平日のみではなく土日も行う

・営業時間を意識した時間帯での往復もする

などになります。

 

こうすることで、実際には2km行かない道路もあったり、時間帯、曜日によっても渋滞が起こっている場所なども知ることができます。

 

また、渋滞などのストレスで来店動機を無くしてしまったりするエリアや、そうでないエリアを知ることで実際には円の形で商圏を意識していたとしても、円ではないことが理解出来るようになります。

 

この5分間のドライブをすることで、人が「その店に行きたい」と思った時に、「すぐ近くだから」という動機(目的来店範囲)を知ることができます。

 

郊外立地でTG(交通発生源)となるものは?

郊外立地においてもTG(交通発生源)を確認しておく事が重要です。

 

自動車でのTG(交通発生源)とは?

・大型商業施設やレジャ-施設などの駐車場入り口

・インタ-チェンジ出入口

・多くの車が行き来する幹線道路の交差点

・ポテンシャルクラスタ-から出ている道路が幹線道路と交差する場所

などになります。

これらのTG(交通発生源)があなたの物件の1km以内にあるとき大きな効果を発揮することが、多くの事例から確認されています。

 

広い視点でTG(交通発生源)を探すには?

ドライバ-客を対象とした立地の場合、徒歩客の時よりも商圏は当然広いものになります。

TG(交通発生源)を探すときも、町単位、都市単位で見て見るという広い視点も必要になります。

 

例えば、

都市部から地方に向かっていくつもの大きな道路が出ていることがあります。

その場合その都市そのものをTG(交通発生源)と考えることが出来ます。

 

そもそも、TG(交通発生源)とは、多くの人が集まり、そこを中心に人の流れが生じるポイントの事を指します。

なので、人々が集まってくる都市もまたTG(交通発生源)と言えるのです。

 

その場合の良い立地は、地方から都市へ向かう場合大きな一本道から都市へ入って来ます。

その道の最初の分岐する場所が、良い立地だといえます。

 

 

交通量が多いほど「良い立地」?「交通量神話」?

人の数だけに着目してしまうと、道路交通量が多いほど、良い立地ということになります。

これが、「交通量神話」が生まれた原因になっています。

しかし、これはまったくの間違いです。

 

その理由は、

ドライバ-の立場になればすぐにわかります。

例えば、

・街路樹

・電柱

・対向車

・道路標識

・坂

・丘

など様々な対象物や風景が飛び込んできます。

 

ドライバ-はこういった視覚対象の中から、事故を起こす要因のものを重点的に、避けることを無意識のうちに情報の処理をしています。

むしろ、こういった状況下では、ドライバ-特定の場所を知覚しにくくなってしまうのです。

 

ドライバ-の視点を遮るものは?

まず、前提として「郊外の立地は通常どこも良くない」と考えるぐらいで丁度いいぐらいです。

それぐらいの慎重さをもって立地探しをすることが重要です。

 

郊外を走るドライバ-の状況を説明しましょう。

郊外を走るドライバ-は、

・国道やバイパス幹線道など、遠隔地を結ぶ道路を走るドライバ-は長時間運転しているのでどのような風景にも慣れてしまっている。

・5分以上似たような道路走っていると多少の周囲の変化に気付かない

・ドライバ-の視野はスピ-ドに反比例して狭くなる

・トラックやバスなどの大型車両が多い道路は視界が遮られる

などの状況があります。

 

このような郊外の道路では、店舗の知覚のしやすさはきわめて低くなります。

 

対応策として、知っておくべきことは、

ドライバ-が店舗を自然に知覚する基準があります。

・100m手前からあなたのお店の看板がはっきり見えるということです。

・時速40kmで走行中のドライバ-が看板を知覚、識別し、購買動機を発生させ、ウインカ-を点滅させてブレ-キを掛けて、安全にハンドルを切って駐車場に進入するために必要な、5秒ないし7秒の時間距離が100mに相当します。

 

ドライバ-の状況を知ることであなたのお店の立地の条件が見えてきたかと思います。

 

 

運転が苦手な人や軽自動車の目線はどうなっているのか?

立地検証での心構えとして、交通量が多いところでの立地検証では、運転の苦手な人の目線に立つというのが大切になります。

もう一つは、小さな軽自動車で調査をすることです。

 

理由としては、普通自動車よりも、低い軽自動車の目線では、普通自動車に増して、遠目が効かなくなるので判断が甘くならずに済むからです。

 

そして、軽自動車での立地検証では、次のようなチェックポイントがあります。

・車線変更は出来るのか?

・減速して、物件の敷地に進入出来るのか?

・反対車線からのインは出来るのか?

・右折専用ラインは近くにあるのか?

・反対車線へのアウトはどうか?

・どこまで進むとUタ-ン出来るのか?

・裏道や側道を使うことによって、容易にイン・アウトが出来るのか?

・街路樹やガ-ドレ-ルが障害になってはいないか?

などをチェックして、あなた自身が運転して来店しやすいようなら、他の大多数の人々も来店できるということです。

 

お客が来店しやすいお店はどんなお店か?

交通量が少なくても繁盛しているお店があります。

最大の理由は、商圏がいいというだけでなく、「容易に来られる」ということにあります。

 

細かく理由を説明すると、

・反対車線からのイン、反対車線へのアウトがしやすい。

・イン・アウト時の心理的負担がなくなるだけでお客さまは来店しやすくなります。

・駐車場に余裕があるかも大切な理由です。

・駐車スペ-スだけでなく、駐車場全体のスペ-スを広くとる

・出入りする車が難なくすれ違うことが出来るくらいのスペ-スがあるといい

などになります。

駐車しやすいということも、運転が苦手な人には大切な要素になります。

 

車の運転が苦手な人を想定して、厳しくチェックして見てください。

そうすることで、あなたのお店は高い売上を望むことが出来るようになります。

 

 

 

物件が、知覚されているか確認しよう!

あなたは、走行中のドライバ-の視覚が回復するときは、どのタイミングだと思いますか?

 

そうです、信号が赤で停止した時に、ドライバ-の視覚は回復します。

視覚が回復すると辺りを見回したり、注意を払うようになります。

なので、あなたのお店が交差点から見える物件なら良い物件と言えるでしょう。

 

もう一つ問題です。

交差点以外でも視界が回復する場所があります、そこはどこだと思いますか?

ヒント:交差点から何mまでの距離か?

 

答えは、物件の直前もしくは、直後、それぞれ50mほどの場所に信号機があるような物件になります。

つまり、交差点から50mまでの距離にある物件なら車が止まる範囲にあるということです。

 

アウトカ-ブの始まりに何が見えるか?

街を走っているとカ-ブの途中にある物件を見かけるときがあります。

カ-ブの途中にある物件は良い立地と言えるのでしょうか?

 

良い立地の条件の中に、アウトカ-ブ外側は良い立地、インカ-ブ内側は悪い立地と言えます。

なぜなら、ドライバ-の視線を考えると分かります。

 

ここで復習ですが、物件を知覚してもらうのに必要な距離と時間がありましたが、覚えていますか?

答えは、100m、7秒というものでした。

説明は割愛しますが、7秒見えていれば物件は知覚されます。

ですので、カ-ブの途中でもアウトカ-ブ外側であれば、7秒視線が移動しないので十分良い立地と言えます。

 

7秒見えていないような、角度が急なアウトカ-ブ外側であれば、良い立地とは言えなくなってしまいます。

そこは、実際に走ってみて確認すべきでしょう。

 

悪い立地としては、インカ-ブ内側は避けるべきです。

視線が常に動いている状態になるインカ-ブ内側は、知覚されないことから良い物件とは言えません。

 

このように、カ-ブ上にある物権に関しては7秒以上視線が動かない場所ならば良い、視線が常に動いている状況のカ-ブでは知覚されないので、避けるべきということになります。

 

実際は走ってみて決めることにはなりますが、7秒以上視線が動かないという条件を頭において、立地調査をしてみてください。

 

 

 

交差点の角地は誰が考えても良い立地に決まってる!

交差点の角地にある物権は一般的には良い立地とされています。

その理由としては2つの理由が挙げられます。

 

1つ目は、

東西南北4方向からの到達路があるからです。

通常のロ-ドサイドに物件があるとすると、店側車線とその反対車線からの2方向になります。

中央分離帯などがあれば、店側車線しかないことになります。

 

しかし、交差点は到達路が4方向あり、T字路でも3方向あります。

多くの方向から到達路があるということは、よりお客様に知覚、周知され、利用されやすいという理由になります。

 

もう一つは、

交差点の場合、多くは停止信号があるということです。

信号があれば必ずそこに停車する車があります。

そうすると、ドライバ-に知覚されやすくなるということです。

 

交差点の角地が良い立地と考えているなら、新規出店は失敗してしまいます

では、交差点の角地のどんな条件下になると、悪い立地になってしまうのか?

例えば、サブ道路側に出入口があり、特に、メイン道路の交通量が多く、イン・アウトがしにくい立地には注意が必要です。

 

メイン道路の交通量が多いところは、得てしてサブ道路側も交通量が多いことがあるからです。

メイン道路側からのイン・アウトができれば問題ないのですが、それが出来にくいと、途端に悪い立地に変わってしまいます。

 

話を戻しますと、メイン道路側の交通量が多く、イン・アウトが困難な交差点の角地だと、サブ道路側からのイン・アウトをしようとすると、停車中の車が止まっていて、イン・アウトが困難になってしまいます。

こうなってしまうと、ドライバ-の精神的負担も多くなり、来店するお客さまが少なくなってしまいます。

 

このようなことから、交差点の角地は知覚、周知されやすく、利用されやすいという最大のメリットがあります。

しかし、落とし穴に変わってしまうような角地もあるので十分に立地調査をして、そのような条件でないことを確認しておく事が大切です。

 

角地に物件が空いているときには、特に注意して確認しておく事が大切です。

是非頭において立地調査に役立ててください。

 

 

 

中央分離帯が来店を妨げるって本当?

中央分離帯の役割を説明すると、

車の往来方向を分けるだけでなく、互いの車線を走る車両が対向車線に出て衝突することのないよう危険を防止することです。

 

しかし、あなたのお店が中央分離帯のあるロ-ドサイドに出店するのは、来店を大きく妨げる要因になるのは、紛れもない事実です。

 

簡単に理由をまとめると、

・店側の車線からやってきたお客さまがやってきた方向へ戻れなくなる。

・反対側の車線から直接店のある敷地に入ってこられない。

・中央分離帯があるために、インやアウトの際に面倒な経験をするとリピ-タ-になってくれることはないでしょう。

 

もしあなたが、ロ-ドサイドへの出店開業を考えているとしたら、中央分離帯の存在は気にしたほうがいいかもしれませんね。

 

交通量が多いと来店客は減るの?

交通量が多いと、中央分離帯がなかったとしても、来店客が減る可能性が高くなるでしょう。

その理由としては、

・店側車線の車の流れが途切れずに反対側車線からのインを遮ってしまう

・店側車線側の車も後続車両が迫ってきており、スピ-ドを落とすことが難しくなる

などがあります。

 

交通量が多いロ-ドサイドに出店開業を考える場合は、店の近くに信号機があるのかを確認しておきましょう。

信号機があることで、車の流れが途切れるので、来店しやすくなるからです。

 

進入間口とスピ-ドの関係性は?

商圏内の人々が、あなたのお店に到達できる容易さを表した言葉を、「到達容易性」と言います。

中央分離帯は、到達容易性を低くする大きな要因のひとつです。

 

では、進入間口とスピ-ドの関係はどうでしょう?

一般的に、店前における車の走行速度が時速50kmを超えると間口が6m未満の敷地には、安全に進入することが出来無くなります。

なので、ロ-ドサイドの物件では、6m以上の進入間口があることが望まれます。

 

また、建物の下をくぐり抜けるような作り(ピロティ式)の進入間口であれば、6m以上ないとほとんど進入出来ないので気を付けることが必要です。

 

ピロティ式進入間口の場合は、高さ制限についても注意が必要です。

通常2.5mあれば大型車を除き、ほとんどの車が進入出来るのですが、心理的抵抗があり、避けられてしまうことがあります。

なので、高さについては、3m以上あることが望ましいといえます。

 

お客さまの進入間口に対する心理的圧迫は?

進入間口に対する、お客さまの心理的圧迫を説明するのに、ある事例があるのでご紹介しましょう。

 

ある東京にある道路沿いで、個人経営の和食店が、あるチェ-ン店の和食店の、道路を挟んだ反対側にオ-プンしました。

違う点は以下の点です。

・チェ-ン店はピロティ式の建物と敷地でした。

・個人の和食店は広々とした敷地と進入間口でした。

 

オ-プンからほどなくして、チェ-ン店のほうが撤退してしまいました。

チェ-ン企業といえども、立地に問題があると、営業を続けて行くのは難しいということの証拠のひとつでもあります。

 

どんなに商品力が高かったとしても、お店を利用する人々は、到達容易性を優先させるのです。

 

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

これまで、20代前半より8店舗のお店をオープンしてきました。銀行などから融資を受けることなく無借金で10年以上経営するも、自分の将来が見えなくなってしまったため、全て従業員や知人に売却。

その後、店舗の開業、店舗展開に携わり、これまでオープンしてきた店舗は100を超えます。

また、集客の専門家でもあるため、全国各地より『集客支援』の依頼が絶えず来ており、これまでサポートした個人事業主・企業様は500件以上となっています。

目次