創業融資で使う制度融資と公庫融資、どっちが有利?

制度融資と公庫融資の選び方

創業時に使える融資として、代表的なものが制度融資公庫融資です。

両者とも起業家を応援する制度ですが、中身には違いもあります。

 

このページでは、制度融資と公庫融資の特徴を詳しく解説していきます。

あなたの現在の状況によって、使える融資、有利になる融資は異なります。

それぞれの特徴を理解し、賢く制度を利用していきましょう。

 

目次

地方自治体の制度融資から借りよう

制度融資は金利が安く優遇措置まである

創業融資を受けるなら、日本政策金融公庫より地方自治体による制度融資を優先させた方が良いでしょう。

なぜなら、制度融資のほうが日本政策金融公庫よりも一般的に金利が安く設定してあるのです。

さらに、地方自治体によっては、利子補給や信用保証料の補助といった優遇措置を受けられる場合もあります。

 

例えば、利子補給を受けたあとの利率が1%未満になることはザラにあります。

日本政策金融公庫の金利は2%台なので、どう考えてもお得です。

利率は地方自治体によって異なりますが、何の実績もない小さな起業家にとってはありがたい制度と言えるでしょう。

 

元本を返済しない据置制度とは?

制度融資と公庫融資では、元本据置の猶予期間も異なります。

据置期間の間は、元本を返済せず金利だけ支払うので、起業直後の不安定な資金繰りを助けてくれるありがたい制度といえます。

資金調達の方法は、借りるだけがすべてではありません。

借りたお金を返さないというのも、立派な資金繰りです。

初年度は元本を返済しなくてすむ据置制度は、小さな起業家が活用すべき資金調達の方法と言えるでしょう。

 

起業家とサラリーマンの最大の違いは、ビジネスのあらゆる局面において自身が最終決定権者になるということです。

起業した後は、毎日孤独の決断を続けなければなりません。失敗の責任も成功の果実も、すべてはあなた次第なのです。

 

もちろん、できるなら失敗はしたくありません。

実は、経営者が犯す判断ミスの多くは、資金に余裕がないことに起因しています。

起業のスタートダッシュにおいて、据置制度は資金に余裕を持たせてくれます。

自由に使える資金は1円でも多いほうが、起業には有利に働くのです。

 

据置制度を利用すると返済金額が増える

制度融資では、地方自治体により一定期間の猶予期間が設けられています。

ちなみに公庫の新創業融資制度では、運転資金の場合1年間、設備資金なら2年間の猶予期間があります。

 

ただし据置制度を利用すると、猶予期間終了後の元本返済額が増えるので注意して利用して下さい。

返済額が増える理由は、据え置き期間の分、返済期間が長くなるわけではないからです。

結果的に元本の返済期間は短縮し、ひと月あたりの返済額は増加します。

 

制度融資の3つのデメリット

いいことばかりの制度融資ですが、当然デメリットも存在します。

ここからは制度融資のデメリットを見ていきましょう。

 

①限度金額が自己資金まで

ここまでの話では、公庫融資よりも制度融資のほうが圧倒的に有利に感じてしまいます。

しかし、もちろん公庫融資にもメリットがあります。

制度融資は、自己資金までという限度額を設けているところがほとんどです。

それに比べ、公庫融資では自己資金の9倍まで借りることができます。

 

②公庫に比べて対応が厳しい

制度融資は、地方自治から委託を受けて、民間の金融機関が融資を実行します。

国の金融機関である日本政策金融公庫に比べると、すこし対応が厳しくなる傾向にあります。

日本政策金融公庫は、起業を応援する国の政策を実現するための団体です。

創業計画やあなたのバックグラウンドに少々難があっても、何とかして融資しようと努力してくれるのです。

 

③信用保証協会の審査に時間がかかる

制度融資では、保証人である信用保証協会の審査も受けなければなりません。

地方自治体と金融機関、信用保証協会の3つの関係者が関わるので、日本政策金融公庫に比べて審査に時間がかかります。

保証協会の混み具合にもよりますが、平均すると早くても1カ月、遅ければ2カ月以上かかる場合もあります。

 

それに比べ、日本政策金融公庫なら、申し込んでから早ければ1週間から3週間程度で融資が実行されます。

制度融資と公庫融資の両方を予定している場合は、ひと月先に制度融資を申し込んでおけば、起業のタイミングにあわせて、確実に必要資金を調達できることになります。

 

制度融資を受ける為の2つの条件

制度融資とは、地方自治体と信用保証協会が連携して行う、中小企業を支援するための政策です。

あなたの事業が制度融資を受けられるかどうかは、最低でも次の2つの条件を見たす必要があります。

 

①中小企業者であること

中小企業者とは、資本金・従業員数の規模が一定数以下の条件を満たしている者のことをいいます。

満たす条件は、業種により異なりますので詳しくは検索してみて下さい。

従業員数には、家族従業員や会社役員、パートやアルバイトは含まれません。

 

ただし名目上はパートやアルバイトであっても、その人が事業に不可欠なメンバーの場合は、従業員としてカウントされます。

また、中小企業者には個人事業者も含まれます。

 

②信用保証協会の対象業種であること

制度融資を利用するには、信用保証協会の保証対象となる業種を営んでいることが条件になります。

基本的にはほとんどすべての業種が対象になりますが、農業、林業、漁業、水産養殖業、ナイトクラブなど食事の提供を主目的としない飲食業、風俗関連営業、金融業、遊興娯楽業、もっぱら個人の素行調査などを行う興信所は、信用保証の対象となりません。

また、学校法人、宗教法人、NPO法人などの非営利団体、有限責任事業組合も、原則として保証協会を利用することはできません。

通常の業種ならほぼ大丈夫ですが、一度、東京信用保証協会のサイトで確認してみると良いかもしれません。

 

制度融資最大のネックは信用保証料の支払い

制度融資を利用する場合には、保証の対価として信用保証料を支払わなければなりません。

信用保証料は、融資実行時に金融機関を通じて保証協会に一括で支払います。

信用保証料は、貸付金額に保証料率・保証期間・分割係数を掛けて計算します。

 

保証料率は、あなたの会社の財務状況、制度融資の内容などにより変わります。

分割係数とは、分割の返済回数により決められている割合です。

 

自治体によっては、信用保証料の軽減措置として、信用保証料の全部または一部を補助する制度があります。

保証料の補助を受けるには、最寄りの地方自治体の窓口で相談してみましょう。

 

制度融資の種類と申し込みの流れ

制度融資と公庫融資は政策が違う

制度融資と公庫融資には、大きな違いがもう一つあります。

その違いとは、日本政策金融公庫が国の政策に基づいて活動する組織であるのに対して、制度融資は地方自治体独自の政策に基づいて中小企業支援を行っているという点です。

 

公庫融資は国の政策に基づいて行う

公庫融資は国の政策に基づいて活動しています。

そのため、日本全国どこの支店・窓口に行っても、融資の種類、金利、貸し出しの条件は同じということになります。

どこの支店に行っても、同じパンフレットが置いてあるのです。

 

制度融資は地方自治体がそれぞれ独自の政策に基づいて行う

制度融資は、各地方自治体が中小企業支援策として独自に行っているものです。

そのため、融資を受けようとする自治体によって、融資の条件、融資の種類や借入限度額、金利などが異なります。

つまり、会社や事業所がどこにあるかにより、受けられる制度融資や、貸付限度額、金利が違ってくるのです。

そのため、詳しくはあなたが住んでいる地域の制度融資について調べる必用があります。

 

東京23区には区ごとの融資制度もある

東京23区は東京都の融資制度とは別に、各区が独自の起業支援を行っています。

区によって貸付限度額もさまざま、利息や保証料の補助もまちまちです。

これは、財政状態や中小企業の誘致に熱心かどうかなど、区によって状況が異なるからです。

 

都の制度と区の制度両方をフル活用できるわけではない

東京都の場合、都の制度融資も区の制度融資も、保証するのは東京都信用保証協会です。

信用保証協会としては、借り手がどちらの制度を選択しようが保証できる上限は決まっています。

そこで、利子補給や保証料の補助が充実している、23区の制度融資から申し込んだ方がよいでしょう。

東京都の制度融資を先に申し込み、保証枠の満額を借りてしまうと、あとで区の制度融資が受けられない可能性もあるからです。

 

制度融資を申し込む流れ

制度融資は、地方自治体によって状況がさまざまです。

まずは最寄りの地方自治体の窓口で相談をしましょう。

 

制度融資を受けると決まったら、最寄りの自治体に融資のあっせんを申し込みます。

自治体から融資あっせんの紹介状を発行してもらったら、取引先の銀行など金融機関に融資の申し込みをします。

すると、金融機関を通じて、信用保証協会に保証の申し込みをすることになります。

 

信用保証協会は、あなたの会社の審査を行い、融資が適当であると判断したら、金融機関に対して「信用保証書」を発行します。

信用保証協会の保証を得られた段階で、やっと金融機関はあなたの会社に対して融資を実行することになります。

 

制度融資に必要な添付書類

最低限必要な5つの書類

信用保証協会へは、保証協会所定の創業計画書と合わせて、「信用保証委託申込書」「信用保証委託契約書」「個人情報の取扱いに関する同意書」「印鑑登録証明書」「所得証明書または課税証明書」の5つの書類を添付して申し込みます。

創業計画書は地方自治体によって、呼び方や様式が若干異なりますが、一般的な事業計画書の内容を記載すれば、どの自治体でも十分通用するので安心してください。

また、場合によっては他の書類を求められることもありますので、その都度用意するようにして下さい。

 

信用保証委託申込書の書き方

申込人の欄に関しては、会社の場合、法人名・代表者名にゴム印を使用しても構いません。

しかし、個人事業の場合は必ず本人が署名・捺印をします。

申し込み印は、会社も個人事業も実印で押印します。

住所欄には、会社は登記上の本店所在地を、個人事業者は住民票の住所を記入します。

また、許認可が必要な事業の場合は、許認可証などの写しを添付します。

 

申し込み内容欄には、利用する金融機関の名称、希望する借入金額や返済期間資金の使途および借入理由、信用保証料の分割希望などを記入します。

「希望借入金額を変更する場合は、2重線を引いた上に訂正印を押して修正」します。

返済期間欄は、各地方自治体の制度融資で決まっている最も長い期間を、月数に直して記入します。

 

設備資金と運転資金では貸付条件が異なる場合が多いので、資金使途欄の金額は、正確に内訳を記入します。

借入理由欄には、資金の使い道を具体的に記入します。

例えば、店舗内装費といった具合です。自由に使える運転資金と違って、設備資金は、「資金使途」どおりに使わなければなりません。

申し込んだときと異なる支払いに使用したことがわかると資金使途違反になり、一括返済を求められることもあります。

 

印鑑を押すときの注意点

金融機関に提出する書類は一般の人には判断が難しく、中味を確認せず判を押してしまいがちです。

しかし、これから事業を行うならそんなことではいけません。

 

事業をはじめると、さまざまな契約書類に押印する場面に遭遇します。

文書を交わすときには大した問題とは思えないことでも、トラブルが発生した時たった1つの文言のために何千万円もの損失を招く事態になりかねません。

契約書は、よく読んで内容を理解してから署名、捺印するという習慣をつけるようにしましょう。

 

信用保証委託書の書き方

信用保証委託契約とは、融資を受ける人と信用保証協会の間で交わす保証契約のことを指します。

この契約は、信用保証協会があなたの会社の保証を承諾し、金融機関に信用保証書を交付した日に成立します。

住所・氏名欄には、()などと省略しないで、株式会社○○と印鑑証明書のとおり記入します。

自署・捺印が基本ですが、会社の場合はゴム印でも構いません。

 

個人情報の取扱いに関する同意書の書き方

信用保証協会付きの融資を受ける際には、個人情報の保護に関する法律に基づいて、協会所定の個人情報の取扱いに関する同意書を提出しなければなりません。

これは、同意書に記載されている関係各機関へ、信用保証協会があなたの個人情報を提供することに対して同意するものです。

よく読んでから署名・捺印しましょう。

 

日本政策金融公庫の公庫融資を借りよう

起業時や独立開業時に借りやすい公庫融資の5つのメリット

日本政策金融公庫とは、国が株式の100%を保有し、国の政策に基づいて中小企業向けのさまざまな支援サービスを行う政府系の金融機関です。

取引実績がない、貸し倒れのリスクが大きいといった理由で、民間の銀行が貸してくれないような中小企業者でも比較的借りやすい特徴があります。

起業時や独立開業時に、これを利用しない手はありません。

民間の金融機関と比べて、日本政策金融公庫から借りると次の5つのメリットがあります。

 

①開業資金の借り入れが可能

民間の金融機関は、そもそも新規事業者に貸し出すノウハウを持っていません。

そのため、起業家が開業資金の融資を受けるのは非常に困難です。

一方、日本政策金融公庫では国の政策として、積極的に新規創業を支援しています。

そのため、過去の実績がなくても融資を受けることができるのです。

 

②無担保・無保証制度がある

会社の財務状況が非常によく、実績のある会社以外では「無担保・無保証人」で一般の銀行から借入をするのは不可能と言えます。

一方、日本政策金融公庫には「第三者保証人等を不要とする融資」があります。この融資は、会社の代表取締役の保証も必要としません。

また日本政策金融公庫は、信用保証協会付きの融資を行わないので、その分コストを安く抑えることができます。

 

③民間の金融機関より、金利が安い

民間の金融機関では、会社の格付けによって金利が決まります。そのため、業績の悪い会社ほど高い金利を要求されます。

一方、日本政策金融公庫は融資の種類によって金利が決まっています。

融資が可能と判断されれば、財務内容が悪い会社でも安い金利が一律に適用されるのです。

 

④固定金利で借りられる

民間の金融機関からの借入は、原則変動金利での返済となります。

一方、日本政策金融公庫は、固定金利での返済となります。

金利の変動を気にすることなく、安心して中長期の事業計画を立てることができるのです。

 

⑤長期間の借入が可能

民間の金融機関から事業資金を借りる場合、短ければ半年、長くても7年で返済するのが一般的です。

一方、公庫の場合は最長で20年と、最初から返済期間が長期に設定されています。

 

公庫融資の対象は中小事業者

民間の金融機関からの融資に比べてメリットの多い公庫融資ですが、すべての会社が公庫融資の対象になるわけではありません。

融資の対象になるかどうかの判断基準は、中小事業者であるかどうかです。

地方自治体の制度融資と同じように、資本金と従業員数により決まります。なお個人事業の場合は、従業員の数のみで判断します。

通常の起業の場合、それほど大規模になることはないと思いますので、あまり気にする必要はないでしょう。

 

公庫融資の対象とならない業種

公庫融資には、融資の対象とならない業種があります。例えば、農業、林業、漁業、金融・保険業(保険媒介代理業および保険サービス業を除く)、不動産業のうち住宅および住宅用の土地の賃貸業、NPO法人など非営利団体、風俗営業、公序良俗に反するもの、投機的な事業を行うものなどです。

 

日本政策金融公庫にはさまざまな種類の融資制度がある

日本政策金融公庫には、たくさんの融資制度があります。一体どれを選んだらいいか分からない、という人も多いかもしれません。

そこで、スタートアップで利用しやすい融資をいくつか紹介しましょう。

 

例えば、開業後5年以内で今後事業の拡大が見込まれる会社を対象にした「新規開業資金」、女性または30歳未満もしくは55歳以上の人を対象にした「女性・若者・シニア起業家資金」、ほとんどの業種の中小企業が利用できる「普通貸付」、廃業歴などがある人のための「再チャレンジ支援融資」、食料品小売業など食品業者が設備資金を調達したいときの「食品貸付」などは使いやすいでしょう。

 

またITベンチャーや技術者などで、技術力やノウハウの新規性に自信のある人は、「資本性ローン(挑戦支援資本強化特例制度)」もお勧めです。

資本性ローンとは、金融機関が会社の決算書を評価する際に、借金ではなく資本とみなしてくれる借入金のことをいいます。

資本金とみなされると、金融機関の格付がよくなります。すると、ほかの銀行からの融資で有利になるのです。

さらに資本性ローンは、返済が7年から15年間据え置かれたり、創業時の業績が悪いときほど金利が安く設定されていたり、起業家にとってありがたいことばかりです。

 

さらに、商品やサービスに新規性がある人は、「中小企業経営力強化資金」もお勧めです。

これは新しい商品やサービスの事業化のための研究開発、試作品の生産やサービスの提供に6カ月以上かかる人が利用できます。

 

3事業年度以内に黒字化が見込め、これから起業する人や起業後7年以内の人で、認定支援機関と一緒に事業計画書を作成することが条件となります。

この制度のメリットは、新創業融資と比べて金利が安いことと、自己資金の要件がないことです。

これらの融資は、それぞれ対象となる業種の要件や限度額、返済期間が異なります。まずは、日本政策金融公庫のサイトで確認しておきましょう。

 

新創業融資制度がおすすめ

新創業融資制度のメリット

新創業融資制度は、これから事業をはじめる会社や事業を開始したばかりの会社を対象にした無担保・無保証人の融資制度です。

自己資金に乏しく、不動産などの担保を持たない個人や中小事業者が、最も借りやすい制度といえるでしょう。

この制度のメリットは、不動産担保が不要、第三者の保証が不要、会社代表者の保証が不要、信用保証協会の保証も不要といったことが挙げられます。

 

新創業融資制度のデメリット

新創業融資制度にも、いくつかデメリットもあります。

まず、新創業融資制度に関しては、高めの金利が設定されています。

返済期間も最長で7年と短く、最大で3000万円までしか借り入れできません。

何の実績もなく、信用もない人に対する融資なので貸す側としても、ある程度のリスクヘッジは必要なのです。

 

新規開業資金が向いている人

借入金は、事業で儲けた利益から返済していくことになります。

新創業融資制度は金利が高いので、最初から十分な利益が見込めない場合、それだけ資金繰りの負担になります。

規模の大きな起業を予定しているのに十分な自己資金がないという場合で、差し入れできる担保物件や頼める保証人があるなら、低金利の「新規開業資金」の方がおすすめです。

逆に、街の飲食店のような小規模な起業を考えていて、不動産などの担保がない、親などに保証人をお願いするのは気が引ける、起業のための資金が十分にたまっていない、という場合には新創業融資制度を利用しましょう。

 

新創業融資制度を受けられる条件を確認する

新創業融資を受けるための要件は、独立前の会社と同じ事業をはじめる予定であるとか、従業員を雇う予定であるなど、大抵の人はどれかに該当するようハードルが低く設定されています。

また、一定の条件さえ満たせば、自己資金の条件は問われません。

お金はないけれど技術と情熱ならあるという人にとって、大変ありがたい制度となっています。

 

また新創業融資の場合、貸付の限度額は3,000万円です。

ただし、3,000万円の満額を借りるためには、少なくとも300万円の自己資金が必要です。

この場合の自己資金は、親や友人から借りて用意した返済不要のものでも大丈夫です。

また貯金がたくさんあっても、事業に使用する予定のない資金は自己資金には含まれないので注意してください。

 

とはいえ、地方自治体の制度融資では自己資金の額が融資の上限になるので、9倍の金額まで借りられる新創業融資制度の方がメリットは大きいです。

新創業融資制度は、無担保.無保証人で貸し付けるため、その分金利が高めに設定されていますが軽減措置もあります。

例えば、会社の代表者が連帯保証人になれば、利率が0l%低くなります。

詳細は、最寄りの日本政策金融公庫の支店窓口に相談に行って確認してみましょう。

 

公庫融資に必要な添付書類

 最低限必要な4つの書類

日本政策金融公庫に創業融資を申し込む場合、「借入申込書」「創業計画書」「前年度の収入が分かる書類」「身分証明書」の4つが最低限必要になります。

また、状況に応じて求められる書類もあります。提出する書類は、様式は違っても基本的に地方自治体に制度融資を申し込む場合とほぼ同じです。

 

借入申込書の書き方

借入申込書には、住所・氏名や連絡先のほか、借入希望金額と希望する返済期間、また希望する融資実行日を記入します。

融資実行日は、公庫の混み具合にもよりますが、余裕を見て2週間から3週間先の日程を書いておくとよいでしょう。

希望の返済期間は、運転資金の場合は5年、設備資金のみの場合は7年と書きます。

据置期間の欄は、最長の12カ月と記入しておきましょう。

 

初年度から利益が確実に見込める場合や、早く返済して次の事業展開を考えている場合は据置期間なしを選びます。

資金の使いみちの欄は制度融資の場合と同じく、設備資金と運転資金を区別して書き込みましょう。

そのほか、業種や家族構成など、必要事項をすべて書き入れます

 

企業概要書の書き方

日本政策金融公庫をはじめて利用する場合、「企業概要書」の提出も必要となります。

ただし、企業概要書と創業計画書の内容はほとんど同じです。

創業計画書ができているなら、以下のポイントを押さえるだけで簡単に作成することができるでしょう。

創業融資の申し込み時は、創業計画書を提出するだけ十分です。

 

①事業の経験等

創業計画書の「創業の動機・事業の経験等」と同じように書きます。

日本政策金融公庫は、社長に情熱がなければ事業は成功しないと考えています。

起業の動機やこの事業に対するあなたの熱意が伝わるよう、しっかりと書くようにしましょう。

 

②現在地での営業開始時期等

会社をつくる前に個人事業を行っていた場合は、個人時代に現在地で事業を開始した時期を書きます。

ちなみに個人時代から引き続き事業を行っている場合は、創業融資ではなく既存企業としての扱いになります。

個人時代の実績を評価してくれるので金利も安くなり、創業融資以外のラインアップから融資の種類を選ぶことができるようになるので、より借りやすくなります。

 

③従業員等について

会社の場合、常勤役員の人数に、代表取締役である自分をプラスするのを忘れないようにしましょう。

一方、個人事業の場合は、自分自身は従業員の数には含まれません。

 

④関連企業について

あなた自身だけでなく、あなたの配偶者が経営している会社が別にある場合に、会社名や代表者名、住所などを記入します。

日本政策金融公庫としては、別法人の財務状況を確認しなくてはなりません。

なぜなら、貸したお金が、別の関連会社の借金の返済に充てられる可能性があるからです。

確認のため、関連する会社の決算書の提出を求められることもあります。

 

⑤取扱商品。サービス

創業計画書の「取扱商品・サービス」と同じように書きます。

取扱商品の欄には、売っている商品と価格を書きます。

商売の特徴やセールスポイントの欄には、あなたの商品の強みや他社商品との違いなどを、お客さま視点で書くといいでしょう。

商売の今後の展望や経営課題の欄には、事業を取り巻く、政治・経済・社会環境・技術革新の状況について触れ、今後のビジョンについて述べるようにします。

 

⑥取引先・取引条件等

創業計画書の「取引先・取引条件等」と同じように記載します。

売上予測の実現性が高いことをアピールするようにします。

また、継続的に安定した仕入ルートが確保できていることもアピールしましょう。

 

制度融資と公的融資、あなたに合う創業融資を選びましょう

このように、制度融資も公庫融資も、起業家にとって非常にありがたい制度となっています。

しかし、両者には違いがあり、それぞれにメリット、デメリットがあります。

自分に必要な金額や状況に応じて、より有利なほうを使うことが、起業を成功させる秘訣と言ってもよいでしょう。

安易に借りやすそうなところから借りるのではなく、きちんと比較検討して融資を申し込むようにしましょう。

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この記事を書いた人

これまで、20代前半より8店舗のお店をオープンしてきました。銀行などから融資を受けることなく無借金で10年以上経営するも、自分の将来が見えなくなってしまったため、全て従業員や知人に売却。

その後、店舗の開業、店舗展開に携わり、これまでオープンしてきた店舗は100を超えます。

また、集客の専門家でもあるため、全国各地より『集客支援』の依頼が絶えず来ており、これまでサポートした個人事業主・企業様は500件以上となっています。

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