開業を考えているあなたが、物件探しをする前に知っておきたい事の一つにTG(交通発生源)という調査方法があります。
このことを知っておくだけで、物件探しの精度が上がります。
勿論、このことだけで物件を選んでいいとは言えませんが、選ぶための一つの方法として知らないでいることは損をしてしまいます。
目次
立地調査で重要なTG(交通発生源)を学ぶ上での基礎知識
立地調査で必要とされるTG(交通発生源)とは何か?
われわれは、生活する中で何らかの交通手段を用いて生活しています。
そして、必ずそれらを結ぶ核となる場所があります。
・電車なら駅
・車なら交差点
・バスならバス停
などです。
また、人間の行動にはある一定のパタ-ンがあります。
このパタ-ンが交差し、人が集団となる場所ができます。
例えば、
・大型小売店
・大型ビルの出入口
などです。
そんな場所は人が発生しているように見えます。
どのような物件であれその周辺に、1か所や2か所は必ず見付けることができます。
そのような場所を、TG(交通発生源)と呼びます。
TG(交通発生源)を別の言葉で表現すると、「お金を使おうとしている人がたくさん、それも毎日、違った人が集まる場所」ということができます。
勘違いしてはいけないのが、人が集まるから売れるではありません。
TG(交通発生源)は、人が集まる場所であるとともに、あなたの店に来店してくれる人が集まる場所でなければなりません。
重要な事は、あなたのお店の売上に影響を与える施設を探すことです。
立地とは、こういったTG(交通発生源)を探すことなのです。
開業する前にTG(交通発生源)を自分のものにしよう!
人が多く集まるような所は、どこでもTGか?
実は、必ずしもそうではありません。
ではどういったところが、TG(交通発生源)と呼べるのか?
例えば、
・街の集会所
・公民館
・市役所
・小学校・中学校
などはTG(交通発生源)とは呼びません。
TG(交通発生源)とは、「交通発生源」と言われるように、集まってくる、動き出すという、人々の動きに着目したものです。
つまり、TG(交通発生源)を探すということは、
・なぜここに人が集まってくるのか?
・なぜここに交通が発生しているのか?
というその目的を見ることでもあるのです。
次に、TG(交通発生源)が売上げに影響を与える度合いを見てみましょう。
例えば、徒歩客を対象とした場合のTG(交通発生源)は、
・駅
・大型小売店(百貨店・ス-パ-など)
・商店街
・飲食店街
・大型交差点
などになります。
もう少し細かく見るならば、
・上記の施設の駐車場
・出入り口
などもTG(交通発生源)ということになります。
例えば、店が駅の近くにあったとしても、駅を利用する人に取って通る必然性のない場所なら、店の認知が広がることはありません。
つまり、この場合駅はTG(交通発生源)にはなっていないということです。
また、いつも同じ地元の人ばかりが利用している商店街などは、それ以外の人の流入はほとんどありませんから、TG(交通発生源)としては期待できません。
同じく、平日どんなに多くのサラリ-マンが集まる場所であっても、日祭日はTG(交通発生源)とは呼べません。
このようにどんな人々が集まってくるのかということを注意して観察すれば、そのTG(交通発生源)がどの程度売上に影響するかが見えてきます。
立地調査で必要なTG(交通発生源)の発生ポイント
駅がTG(交通発生源)になると言っているのに、条件次第ではなりえないとか、他の場所も然りです。
つまり、TG(交通発生源)の候補は駅やバス停や交差点などになるのですが、あなたのお店の売上に影響がなければそれはTG(交通発生源)ではないということです。
1、TG(交通発生源)駅偏
駅はTG(交通発生源)の中でも最大のTG(交通発生源)となります。
駅をTG(交通発生源)として調べる際には次の点に注意して調べて行きます。
・人の流れを把握する
・駅口はいくつあるか
・駅口の使われ方はどうなっているか
・集中度はどうか
・駅のホ-ムから、店が見えるか
・駅のホ-ムに降り立ったらいきなり物件前に直行するのではなく多くの人の流れに従う
などです。
人の流れに従って駅の改札口を出たら、人の流れがどこに向かっているのかを把握しましょう。
近くに商業施設などがあってそっちに人が流れているようであれば、その流れに繋がる出入口が最も集中度が高いはずです。
次に、物件へ向かって歩きます。その際のポイントは、
・交差点の数
・物件までの角や交差点の数が2つ以内は立地として有望
・物件までの角や交差点が4か所以上あるようなら、慎重に考えるべきでしょう
次に、今度は物件から駅に向かって歩きます。
その際のポイントは、
・物件に最も近い別の駅出入口が見つかったら、出入り口周辺が静かで人通りが少ない場合でもポイントとなる
・その方向の住民の流れを引き起こす、集中度の高い駅口である可能性があるからです
注意するべき事としては、「駅前再開発計画」などがある場合は慎重に検討するべきです。
プラスに働く場合もありますが、マイナスに働く場合もあるからです。
2、TG(交通発生源)大型小売店編
大型小売店とはどんなものをいうのでしょう。
大まかにはこんなものをいいます。
・デパ-ト
・スーパ-マ-ケット
・ディスカウントストア
・ホームセンター
・ショッピングセンター
・大型家具店
・大型書店
・大型電器店
などがそれにあたります。
大型小売店を見る場合にはこんなところに注意して見てみましょう
・商品の品ぞろえ
・価格帯
・品質
・催事
・併設施設
などを見ます。
なぜなら、来店する人の
・所得層
・性別
・年齢層などを見るためです。
大型小売店がどのくらい影響があるのかをご紹介します。
見るべきポイントは次の通りです。
・お店の年商を見る
・10億円レベルなら影響力は小さい
・20億円レベルなら影響力は強い
・50億円レベルなら影響力は非常に強い
と考えていいでしょう。
大型小売店の自店への影響力を見るも一つの指標としては、来店者人数があります。
目安としては、あなたのお店に来店してほしい人数の10倍の来店者数があれば十分TG(交通発生源)となり得るのでその点も注意して見てみましょう。
3、TG(交通発生源)大型レジャー施設編
面積が5000㎡以上の大型レジャー施設もTG(交通発生源)になりえる場合があります。
例えば
・大型の場外馬券場
・競馬場
・利用頻度の高い球戯場やサッカー場
・体育館
・映画館や博物館
・テーマパ-ク
などがこれにあたります。
こうした施設は、次の点に注意してTGかどうかを判断してください。
・年間を通して集客できているか(目安として100日以上)
・仕事をするだけのように目的が偏っていないか
・人々の集中度が高いか(どの駅からでもアクセス出来てしまっては分散傾向が出てしまって集中度は低くなります)
・1日の集客人数が、5000人以上で年間で延べ100万人以上の集客規模があるのが望ましい
・規模はあなたのお店に来店してほしい規模の20倍が望ましい
以上の点に注意して判断することが大切です。
安易に近くに駅があるから、大型小売店があるから、大型レジャー施設があるからといって、開業やテナントを借りる判断してはいけません。
TG(交通発生源)になりうるための条件をしっかり把握して、良い物件を見付けるようにしましょう。
集客できるTG(交通発生源)を探す新しい方法1
独立して開業はするんだけど、立地調査のやりかたがわからないなんて悩みはありませんか?
なぜ、TG(交通発生源)が重要なのか?
なぜなら、TG(交通発生源)は、「お金を使おうとしている人がたくさん、それも毎日、違った人が集まる場所」と言い変えることができるからです。
つまり、あなたのお店に来店してお金を使ってくれる人がたくさん、それも毎日違った人が集まる場所を探すというように言い変えることができます。
TG(交通発生源)を探すことが重要ということがご理解頂けたのではないでしょうか。
1、人が集まる交差点は要チェック!
交差点もTG(交通発生源)となり得ます。
しかし、交差点ならなんでもよいというわけではありません。
では、どういった交差点であればいいのか?
・都市部では、駅や大型小売店などに隣接した交差点
・通常の幹線道路同士が交差しているような場所で人が集まってくる交差点
・離れた駅に向かうための最もわかりやすい交差点
・ランドマ-クとして人々に知られている交差点
などになります。
交差点は立ち止まる構造になっているのかも重要なポイントになります。
例えば、
・中央分離帯があったり、交通量が多かったりしてその場所以外では横断する事が難しい交差点
・周囲を大きな道路や鉄道、河川・丘陵などで囲まれているエリアで、外に出るためには必ずそこに出て来ざるを得ないような交差点
・道路が入り組んでいて複雑な構造になっているエリアで少しでも分かりやすい道に出たいと思われるような交差点
上記の条件として共通していることは、往来する人が一時的にせよ、必ず立ち止まらなければならない構造の交差点であるということです。
TG(交通発生源)となる交差点の探し方は、まず生活する人の立場になって、街を観察するところから始めましょう。
2、大学・予備校はTG(交通発生源)になる場合
実は学生はかなり目的性向がかなり強く、消費性向は弱いといえます。
なので、TG(交通発生源)となり得る大学か見極める必要があります。
こういった大学はTG(交通発生源)にはなりにくいので気を付けてください。
・専門性の高い大学
・○○学部△△学科□□研究室だけがぽつんと独立しているような大学
上記のような場合はTG(交通発生源)にはなり得ません。
大学を大型TG(交通発生源)として見るには、
・最低3つの学部が集まったキャンパス
・学生数の目安は3000人以上
を目安にしましょう。
大学が大型TG(交通発生源)として考えられる理由としては、
理由1、18歳から22歳前後という最も消費性向が高い年齢層が集まっているという特異性
理由2、下校時の学生の心理状態が、きわめて開放的であるということ
理由3、大学内のサ-クルの存在、サ-クルはこう広域性が強く、一つの大学だけでなく他の大学の学生も集まってくるから
理由4、正門や裏門だけからしか出入りしないため集中度が高いから
大学がTG(交通発生源)となりうる条件は以上になります。
次に予備校ですが、
大学と比較すると、
大学:春夏秋冬長期休暇がある⇔予備校:逆に学生が増えます、しかも、土日祝日関係
なしです。
大学:休暇が多い(売上に波が出る)⇔予備校:休暇がない(売上に波が無い)
というような特徴があります。
なので、予備校のほうが大学よりもTG(交通発生源)としての効果は大きいといえます
さらに、予備校には、サ-クルや同好会といった要素がありません。
なので、予備校の周囲には遊びの要素が強い商売にはうってつけと言えるでしょう。
つまり、
・大学にはTG(交通発生源)となりうる大学となり得ない大学があります。
・TG(交通発生源)となりうる大学は、3学部集まっていて、3000人規模の人数が必要
・大学がTG(交通発生源)になりうる理由は4つ、年齢、下校時の開放感、サ-クル活動、入口が正門、裏門しかないので集中度が高い
・予備校には長期休暇が無い
・サークルや同好会などの遊びの要素が無い
となります。
TG(交通発生源)となりうる大学・予備校を調べてみるのも面白いかもしれません。
TG(交通発生源)を探す新しい方法2
1、PCとTG
PCとは?TGとは?
まず、TGはご承知の通り交通発生源のことですね。
では、PCはというと、「ポテンシャルクラスタ-(Potential Cluster)」と言います。
意味は、「人々が密集して、住んでいる、または、集まっている地域」のことを指します。
例えば、
・高層住宅群
・ニュ-タウンなどと呼ばれる新興住宅地
・オフィスビル群
・流通団地
などを指します。
ポテンシャルクラスタ-を厳密に定義すると、
①:人々が密集していること
②:その地域の周りが、河川や山丘、あるいは幹線道路など容易に超えられない状況に
なっていること
③:その地域と外の地域を結ぶ道路が1本または数本しかないこと
の3つです。
「ポテンシャルクラスタ-由来のTG」を探そう!
ポテンシャルクラスタ-から、1本の道路に沿って、その外側に出てくるとき、まず最初にぶつかる幹線道路があります。
その交差点を、「ポテンシャルクラスタ-由来のTG」と呼びます。
具体的には、
○○団地入口などの、バス停や交差点名になっていることが多いです。
今回、具体例、定義などをご紹介しているのは、ポテンシャルクラスタ-由来のTGを見付けてその場所に出店することは、高い売り上げを獲得できている個人店、チェ-ン店などが多いからです。
とても重要なので覚えておいてください。
2、その他のTG(交通発生源)になるもの
今までに、TG(交通発生源)となるものとして、駅、大型小売店、大型レジャー施設、駐車場、駐輪場、横断歩道などをご紹介してきました。
それ以外のTG(交通発生源)として、考えられるものとしては、
・バスの停留所
・団地の入口
・街中の公園の出入口
などになります。
小規模だからと言って侮ることは出来ません。
なぜなら、要は吸引の度合いだからです。
つまり、人が集まってくる必然性があるかどうかを見ることです。
そして、これらの小TG(交通発生源)と大型TG(交通発生源)との繋がりはどうかを見るのです。
、TG(交通発生源)の中でも最重要なポテンシャルクラスタ-由来のTGのことについてご紹介しました。
とても重要なので何回も目を通し頭に叩きこんでおいてください。
その他の小TGについては、大型TGとのつながりを見ていくことが大事だと知ることが出来ました。
開業時に必ずやっておくべき立地調査で失敗しないために・・
結局よい立地と、そうでない立地との違いは、近くにどのようなTG(交通発生源)があるのかということにつきます。
必ず、開業する際に物件探しをする時には実施してみてくださいね。