同業店=競合店=売上減少と考える人は多くいます。
事実そのせいで売上げが下がることもあるでしょう。
ですが、競合が無い場所などはほぼあり得ないことだとも言えます。
そして、売上が減少したことがそのまま、競合が出来たからと決めつけるのは早計と言わざるを得ません。
まず、同業店が出店してきたら、競合しているか否かを見極めることが必要です。
その為に、今回は次にあげる2点に着目して確認してみてください。
この2点に該当するならば、競合関係にあると考えられます。
まずは、あなたのお店との関係性を知りましょう!
お互いの業種業態に代替性があるか?
業種業態に代替性があるのかを、分かりやすく例えると、マクドナルドに対してロッテリアやモスバ-ガ-というハンバ-ガ-系の店舗は大きな代替性があるといえます。
一方で、チキン系やド-ナツ系のファストフード店などは、代替性はありますが、ハンバ-ガ-は好きでも、チキンは嫌いであったり、甘いものは嫌い、という人にとっては代替性はありません。
このように、同業店の商品の特徴を見極めながら、あなたのお店の商品の特徴と代替性があるのか、ないのかをみていくと関係性が見えてきます。
競合以外に売上変化がないかを確かめる
売上が下がった時に、たまたま近くに同業店などが出来ていると原因をそこに決めつけがちですが、そう決める前に確認しておく事があります。
まずは、それ以外に原因が無いかを次にあげるポイントを見ながら確認していきましょう
売上が下がったら、
・看板が街路樹や他店の看板で見えにくくなっていないか?(視界障害)
・近くに別のTG(交通発生源)が出来てたため、利用者の生活行動パタ-ンが変わっていないか?
・景気変動が影響していないか?
・天候や営業状態が変化していないか?
・販売促進活動に影響があっていないか?
・季節変動を補正して推移を見ているか?
これらの要因を考慮して、なお10%以上の落ち込みがあるなら、同業店が原因であることも考えられます。
競合店の影響はプラスか?マイナスか?
あなたに聞いてみたいのですが、同業店の出現によるあなたのお店への影響はマイナスですか?プラスですか?
もしあなたのお店の売上が下がっていたら、マイナスと考えるかもしれません。
もしあなたのお店の売上が上がっていたら、プラスと感がるかもしれません。
これはどちらが正しいのでしょうか?
実は、その両方が同時に働いていると考えるのが正しいのです。
もし同じパイ(市場)の中で見るなら、同業店が出来ることによって、そのパイの取り合いになりますから、あなたのお店の売上は減ってしまいます。
これはマイナスの影響と考えられます。
しかし、今後は別の視点もあることをご理解頂けると思います。
同業店は市場を拡大させる!
①:同じ様な場所に1店舗しかいないより、2店舗、3店舗あったほうが、お客さまを呼び寄せる効果は大きくなります。
②:2倍、3倍の視界性ができ(2倍、3倍目に付く)2倍、3倍の品ぞろえがあり、品切れのリスクが1/2~1/3になるからです。
③:1店舗しかなかった時は、その場所に1年に5回しか行かなかったのが2店舗出来ることによって7~8回に増えたりします(頻度増)
④:2km先からしかお客様が来なかったのが、3km先、5km先からも来るようになる(商圏拡大)
⑤:男性客ばっかりだったのに、女性客が増えたり、若者客が多かったのが、ファミリ-客が多くなったりする(客層拡大)
このように、同業店が増えることで起こる、プラスの効果を「市場拡大」と言います。
市場拡大は局地的に起こります。
分かりやすい事例として、「電器店なら秋葉原、古書店なら神田」なども、同業店が多数出店することで、市場拡大が起きることが自然に知られていたからです。
同業店があなたのお店に及ぼす影響はマイナスばかりでなく、こういったプラスの面もあるということ、あなたが、思考をマイナスにするのではなく視野を広げていくことで、上記のような効果を狙った販売促進活動も可能になるのではないでしょうか?
競合店を利用して立地戦略を見直す方法
同業店・競合店がもたらす市場拡大のプラス面を考慮した立地戦略をあなたが考えていくことで、あなたのお店はさらに売上を伸ばすことも可能になるはずです。
そこで、今回は、立地戦略について、シェアしていきたいと思います。
繁盛同業店・ライバル店の隣に出店する
あなたが開業の為に物件を探していたとしたら、繁盛店の横に出店することをあなたはどう考えますか?
普通に考えれば、同業店の横に出店するのは、躊躇うのではないでしょうか?
しかし、その考えは逆なのです。
一般的に、同業店が2店舗になった場合の市場拡大率は、1.4~1.8倍と言われています。
仮に、1.6倍としましょう。
そうすると、あなたが、その繁盛店の横に出したお店は、1.6倍の半分の0.8倍となり、同業店の売上が月商1500万円だったとすると、1200万円となります。
実は、この出店方法は、比較的リスクの少ない戦略ということが分かって頂けたのではないでしょうか?
知っていれば躊躇うことなくそこに出店できますが、知らなければ離れて出店しようとしてしまう、この違いは大きいですよね。
同業店・ライバル店の立地上の弱点を探す
仮に、同業店が繁盛していないとすればどうでしょう。
ここでの、考え方は簡単にあきらめず、その立地をよく観察しましょう。
その結果、同業店の売れない立地上の理由が見つかれば、しめたものです。
例えば、TG(交通発生源)から全く見えないという立地上の弱点があったとしたら、あなたはTG(交通発生源)から見えるような店を作れば良いのです。
こうすることで、同業店よりも売上が下がることはなくなるはずです。
負ける原因の徹底解明をする
逆に、あなたのお店の隣に同業店が出店してきた場合、あなたのお店の売上が20%を超えるようなら、あなたのお店は同業店よりもそれだけ競争力が低いということになります。
その場合は、徹底的にその原因を探す必要があります。
このように、同業店・競合店の出現は、自店を見直す、または、開業する際の検討材料となります。
こういった機会は頻繁に出てきますので、その度ごとに具体的な改善目標や検討材料として、利用することができます。
そうやってあなたのお店は成長していきます。
侮ってない?立地の競争力って実は重要
同業店が2店並んで出店しているような場合で、お客さまがどちらの店を選択するかという、その優位性のことを立地競争力と言います。
もう少し分かりやすく説明すると、同業店が、あなたのお店の商品とまったく同じ様な商品を、同じ様に売っているとしたとします。
その場合に、お客さまがお店を選択する割合は、1:1、つまりお互いの競争力は、同じ「1」ということになります。
ところが、全く同じと言う場面はほぼありえないし、現実的ではないので、比較できる例をあげてみると、
・片方は知名度が高い場合
・片方がサ-ビスに熱心で、非常に接客態度が良い
・片方が商品の品質が良い
・片方が品揃えが良い
・片方が価格が安い
・片方が内外装のハード面が良い
・片方が商品提供スピ-ドが良い
・片方が居心地が良い
このように、ハ-ド面であったり、ソフト面での競争力が挙げられます。
ここからが、今回の本題なのですが、「立地での競争力」というのもあります。
例えば、
・駅というTG(交通発生源)にどれだけ近いかとか
・ス-パ-マ-ケットなどの大型小売店の出入口というTG(交通発生源)にどちらが近いかとか
・動線はどうかとか
・視界性はどうかとか
という立地の要因上の違いで発生する競争力のことになります。
立地の競争力の影響を知る
影響力の程度はどのくらいあるのか?
この違いを示唆する、いくつかの数字を挙げて見ました。
前もって言っておくと、これからわかることは、多くの場合、1:1.2、あるいは、0.9:1.1程度の比率になるということです。
これ以外にも様々なケ-スがあり、立地によっては、0.8:1.2という違い、すなわち50%の差までは生じる場合があります。
これは非常に大きな差と言えます。
では、それらを示唆する、いくつかの数字を挙げてみます。
立地の競争力の前提条件としては、
・駅(TG)にどれだけ近いか?
・視界性はどうか?
・大型小売店の出入口(TG)には、どちらが近いか?
・動線上にあるか?または、動線上から見えるか?
・営業階は何階か?
・間口の広さはどうか?
これらの違いによる、立地の競争力の違いを示唆する数字は、
・営業階が2階にある⇒1階に比べて、来店率は0.87になる
・営業階が地階にある⇒1階にある場合に比べて、来店率は0.81になる
・店舗の視界性が劇的に向上した⇒来店増加率は、5~20%ほどである
・狭くて入りにくい間口を広くした⇒来店増加率は、0~20%ほどである
・顧客アンケ-ト調査による、TGから直接来店している人の割合⇒必ず5~20%占め
ている
以上のような視点で立地の競争力を検討してみてください。
まとめると、これらのことからわかるように、同業や競合店が近くにあっても、しっかりと分析すれば競合にすらないということがわかっていただけたのではないでしょうか?
テナントや物件は、簡単に変えることができません。
特に新規出店や開業時は、しっかり見極めて物件を選ぶことが必要です。