お客様の心に響く美容室をつくるには、ライバルとの差別化がポイントになります。
そして、差別化のカギはサロンコンセプトが握っています。
つまり、あなたの美容室が繁盛するか否かは、サロンコンセプトにかかっていると言っても過言ではないのです。
そこでここでは、ライバルに圧倒的な差をつけるサロンコンセプトのつくり方について紹介したいと思います。
あなたのやりたい事だけでは、コンセプトにはなりません。
ぜひ参考にしてみてください。
美容室経営で受け入れなければならない厳しい現実とは?
技術力だけでは成功できない
美容室の新規出店数は、毎年約1万件といわれています。
コンビニの総数は現在約5万件ですので、かなりの数の美容室が毎年生まれていることになります。
一方、廃業数も毎年約8000件と非常に多く、入れ替わりの激しい業界ということができます。
また、現在の美容室の総数は約24万件もあり、完全に供給過多な状態にあります。
そのため現在では、美容室を開業してもそう簡単に儲けることはできないのです。
供給過多な現状なので、生き残りをかけて激しい競争が続いています。
お客様に支持されるため、また収益を上げるため、必死になって様々な情報を集め経営努力を続けています。
カット専門店、カラー専門店など、多種多様な業態が出てきているのもその現われです。
他業種の経営ノウハウを取り入れているサロンもあり、美容室の進化はさらに加速するでしょう。
スタッフから選ばれなければならない理由
美容室業界では、お客様の獲得競争だけでなく人材の獲得競争も激化しています。
現在、多くの美容室が人手不足に悩んでいるのです。
美容専門学校の卒業者数は、2005年の2万4000人をピークに減少し、2011年には約1万6000人と、年々減少しています。
ところが、美容室の件数はむしろ増加しているのです。
また、美容室は女性が多く活躍する職場のため、結婚や出産等の理由で離職する割合も高くなります。
さらに労働時間も長くなりがちなため、給与や勤務体系などの待遇面の問題で離職する人も少なくありません。
これらの現状を考えると、経営者はスタッフからも選ばれる美容室づくりをしていく必要があります。
技術だけでは経営者になれない
美容室業界においては、経営者を育てる環境が少ないことも大きな問題点のひとつです。
美容室に限らず、開業するということは経営者になるということです。
しかし、多くの開業者は経営者としての知識や経験がないまま開業してしまいます。
ところが、技術が優秀だからといって、経営がうまくいくとは限らないのです。
経営者に求められるものと、技術者に求められるものはまったくの別物です。
開業者を目指すなら、まずは技術者から経営者へと意識を変えなければなりません。
それが、開業への第一歩になります。
開業準備中に経営者に変わろう
お店をつくることだけが開業準備ではありません。
競争の激しい美容室業界で生き残るために、どのようなコンセプトや経営戦略を打ち出していけばよいのか、美容室を存続・成長させていくためにはどうすればよいのか、経営者はしっかりと考えていかなければなりません。
サロンコンセプトや事業計画書を作ることは、経営者として美容室の経営戦略を立てる最初の作業となります。
時間を費やし、誰に見せても恥ずかしくないプランを練ってください。
お店を長期的に繁栄させるサロンコンセプトのつくり方
開業準備で最初にやるべきこと
開業準備を始めるにあたり、最初にやっていただきたいのがサロンコンセプト作りです。
コンセプトというと、店舗のイメージやテーマを作ることのようですが、実はそれだけではありません。
コンセプト作りとは、開業するにあたって自分の夢やビジョンを明確にすることです。
また、美容室を開業するということは、社会の中に新しい事業を作るということでもあります。
そのため、事業コンセプトを作るということにもなります。
サロンコンセプトは事業計画書の核となり、美容室を成功へ導く非常に重要なものになります。
物件選定や店舗デザイン等を考える前に、時間をかけて納得いくまで考えてみてください。
スタッフと想いを共有する事業理念
事業理念やビジョンを持っていないと、経営を長く続けることはできません。
なぜなら、スタッフと「志」の共有ができないからです。
独立への直接的な動機は、「お金を稼ぎたい」とか「自由に働きたい」などでもかまいません。
しかし、それだけが動機ではないはずです。
自分が美容室を開業して何を実現したいのか、一度整理してみることをオススメします。
そのためには、美容室の事業内容の趣旨を簡潔にまとめることから始めてみましょう。
これは、サロンコンセプトの作成における核の部分になります。
まず、自分の目指す美容室の特徴や強み、イメージを簡潔にまとめます。
思い浮かぶアイデアやイメージをすべて紙に書き出し、まとめながら整理していくとよいでしょう。
サロンコンセプトで重要となるのは、「顧客にとって魅力的か?」「競合との差別化ができているか?」の2点です。
この作業を通して、自分のお店のコンセプトを確認してみましょう。
美容室のすべてを決めるターゲットについて
美容室で提供するサービスや商品は、ターゲット顧客に合わせたものを提供することになります。
そのため、ターゲット顧客によって、つくるべき美容室像は大きく変わってくるのです。
また、集客プロモーションの方法もターゲット顧客によって大きく異なります。
こちらも、ターゲットを絞った上で選定するようにしましょう。
ターゲット顧客を決めるためには、イメージターゲットと、ビジネスターゲットという二つの方法があります。
では、それぞれ紹介していきましょう。
①イメージターゲット
イメージターゲットとは、お店に来て欲しい人物像を設定することです。
年齢層、性別、所得レベル、行動特性などを細かく設定していきます。
イメージターゲットは美容室のメインターゲットとなるので、コンセプトやメニュー構成、店舗デザインなどを考えていく上でも、非常に重要になります。
もし事業計画書の作成途中で、イメージターゲットを変更する場合は、コンセプトやメニュー構成などをすべて考え直す必要があります。
例えば、20代の女性をイメージターゲットにしていたものを、40歳の男性へ変更したとすると、当然求めるお店が全然違ってきます。
ターゲットの求めるものが違うので、当然サロンコンセプトやメニュー構成、店舗デザインなども変更しなければならないのです。
性別、年齢層などによって、ターゲットの求めるものは全く異なります。
お客様のニーズを捉え、心に響く美容室をつくるために、ターゲットを選定しその欲求を明確にする必要があります
②ビジネスターゲット
完成した美容室に興味を持ち来店されるのは、イメージターゲットに近いお客様だけではありません。
実際には、幅広い層のお客様が来店されます。この、幅広いターゲット層を設定するのがビジネスターゲットです。
ただし、あまりに幅広い層で設定してしまうと、誰にも支持されない美容室になってしまいます。
なぜなら、美容室はひとつの空間で同じサービスを提供していくので、年代や特性等があまりかけ離れてしまうとコンセプトが分からなくなってしまうのです。
あくまでも基軸はイメージターゲットで考え、ビジネスターゲットに関しては配慮する程度で考えていきましょう。
ライバルに差をつけるセールスポイントを生み出す方法
お客様を集める2つのベネフィットとは?
「エモーショナル・ベネフィット」と「ファンクショナル・ベネフィット」は、美容室がお客様に提供する価値のことを指します。
これら2つは、美容室のセールスポイントや他店との差別化を考える際、重要なポイントになります。
ベネフィットをもとに、どのような空間でどのようなサービスをするべきか、美容室やスタッフが提供できることはなにか、といったことを具体的に整理していきます。
ではそれぞれ見ていきましょう。
①エモーショナル・ベネフィット
エモーショナル・ベネフィットとは、美容室がお客様に提供する「情緒的価値」のことです。
来店されたお客様に、どのような精神的な満足感を味わってほしいのかを考えていきます。
お客様になりきり、どのような気分や感覚を感じるか、感情移入しながら作成していく必要があります。
②ファンクショナル・ベネフィット
ファンクショナル・ベネフィットとは、美容室がお客様に提供する「機能的価値」のことです。
美容室で取り扱うサービスや商品に、どのような価値や機能があるのか、また、ターゲットはそのサービスや商品に、どのような価値や機能を求めているかを考えます。お店側とお客様側、2つの視点で考えながら作成していきましょう。
意思表明でスタッフからの信頼を得る
これから美容室を経営するにあたり、お客様への向き合いかたや約束を掲げることが大切です。
これをスタッフと共有し理解し合っておけば、同じ価値観を共有することができます。
約束と行動指針があることで、スタッフと志を共有することができます。
するとスタッフ全員、同じ目標に向かって高いモチベーションで働くことができるのです。
コンセプトがお客様の集客をする
このように、美容室のコンセプトを考える際は、お客様視点で考えることも重要になります。
自分のやりたいことばかりが先行してしまうと、このことを忘れてしまいがちです。
あなたのお店なので、あなたのやりたいことはもちろん重要です。
しかし、お店を選ぶのはお客様です。
お客様に選んでもらうには、あなたのやりたいことをお客さま視点で見て、選んでもらえるか判断することが重要です。
お客さま視点で魅力的と感じるなら、きっとあなたの美容室は人気サロンとなるでしょう。
ぜひ挑戦してみてください。