現在、美容室の数に対して美容師が全然足りていません。
そのため、どの美容室でもスタッフを確保するのに非常に苦労しています。
美容室での仕事は接客業でもあるため、技術はもちろん、人としての魅力も大切です。
経営者としては、技術と魅力の両方を兼ね備えた人材を採用したいところです。
しかし現状では、必要なスタッフ数を確保することすら難しい状況なのです。
とは言え、日常業務のサポートや、常連客を生み出す優秀な人材がいないと、長期的に繁栄する美容室に成長することは出来ません。
そこで、どうすれば優秀なスタッフに入店してもらえるのか、採用方法を考えていきましょう。
目次
美容室の求人・人材採用5つのパターン
美容室で人材採用する場合、大きく次のような方法が考えられます。
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- 求人媒体
- 人材紹介会社
- 専門学校やスクールからの紹介
- ハローワーク
- 知人・友人・スタッフ等からの紹介
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それぞれに特徴があり、費用も大きく異なります。
詳細を確認した上で、予算と店舗に合った採用活動を行ないましょう。
美容室業界では、長年人手不足の課題を抱えています。
獲得競争が激しい業界なので、闇雲に採用活動をしても上手く行くことはないでしょう。
美容師が求める条件や求人方法を把握し、戦略的に採用活動を進める必要があります。
スタッフが美容室(オーナー)に求める条件とは?
美容師は大きく分けて3タイプ
美容師が不足している現在、美容室はスタッフからも選ばれないと生き残ることができません。
あなたはスタッフが美容室に求めているものを的確に把握し、その希望を叶え、職場環境を整えていく必要があります。
最初に求めるものを把握するため、現在の美容師の特性から見ていきましょう。
美容師の特性は、「夢・ビジョン重視型」「成果報酬重視型」「ライフスタイル重視型」の3タイプに大きく分けられます。
夢・ビジョン重視型のスタッフは、美容師としてのスキルアップや夢を実現することを重要視しています。
そのため、目標の実現に近づいていると実感させてあげることが最重要課題となります。
次に成果報酬重視型のスタッフは、働いた分の成果に見合う対価を重要視しています。
そのため、仕事の評価が給与や役職といった待遇面に反映させることが最重要課題です。
最後にライフスタイル重視型のスタッフは、自分のライフスタイルが崩れないことを重要視しています。
そのため、残業がないなど勤務時間の面が最重要課題となるでしょう。
男性と女性の求めるものの違い
男性美容師の転職理由第1位は、「給与」という結果が出ています。
つまり男性は「成果報酬重視型」のタイプが多いということができるでしょう。
男性は家計を支える場合が多いため、仕事に対して経済的な要素を求めるケースが多くなります。
男性美容師の転職理由第4位は「将来性」となっていますが、これはほとんど独立のための転職です。
独立を考える理由は、夢の実現と経済的なものです。
美容業界の給与水準は他の業界と比べて非常に低いため、雇われて働いている限り給与アップは難しいと判断するスタッフが多いのです。
一方、女性美容師の転職理由は、第1位「休日」、第2位「勤務時間」となっています。
このことより、女性はライフスタイルを重視する傾向にあることがわかります。
これは、仕事と家庭を両立しなければいけないという点も大きく影響しているでしょう。
美容室は女性が多く活躍する職場ではありますが、女性が働きやすい環境が整っているとはいえません。
基本的に週末が忙しいため、カレンダー通りに休みを取ることは不可能です。
また、アシスタントに技術指導する時間が取られるなど、勤務時間が長くなる傾向にあります。
拘束時間が長いため、仕事と家庭の両立は非常に難しいといえるのです。
人間関係も重要ポイント
どの職場にも人間関係の問題があるもので、それは美容室業界も同じです。
むしろ美容師は技術職なので、師弟関係が大きな影響を及ぼすおそれもあるのです。
例えば、技術指導を担当する先輩との関係がうまくいかなければ、その人の技術が進歩しなくなってしまいます。
つまり、人間関係がキャリアに直結してしまうのです。
人間関係を個人の問題だからと放っておくと、店内の雰囲気が悪くなり営業にも悪影響を及ぼしかねません。
また、スタッフが育たないと、お店の経営にも影響してしまいます。経営者は、些細な人間関係にも気を配らなくてはならないのです。
優秀な人材を見抜くチェックポイント
美容室を成長させていくには、スタッフの協力が必要不可欠です。
では、優秀なスタッフはどのように採用したらよいのでしょう。
スタッフを募集し、採用の合否を決めるためには、まずは応募者の人物像を的確に把握しなくてはなりません。
そこでここでは、採用面談で人物像を把握するためのチェックポイントを紹介していきましょう。
求職者がどのタイプか把握する
先ほど紹介したように、美容師の特性は大きく3パターンに分類されます。
採用面談時には、美容師が何を重視するタイプなのかチェックしましょう。
特性のパターンは、複数のタイプにあてはまる人もたくさんいます。
そのため面談時では、特にどのタイプが強いのか見るようにしましょう。
その上で、あなたのサロンが望む人物像を採用することが重要です。
採用面談時に押さえるべき基本チェックポイント
ここからは実際の面談時にチェックすべきポイントと、聞いておくべき質問を紹介していきましょう。
①面談時にさりげなくチェックする項目
・到着時間(約束時間5分前に到着)
・服装(清潔感など)
・挨拶
・言葉遣いや敬語
②面談時に質問すべき項目
・履歴書は事前に確認しておき、求職者が和みやすい話題から話す
・「はい・いいえ」で答えられる質問は避ける
・応募の動機は必ず質問する
・美容師という職種を選んだ理由を聞く
・過去の職場での業務内容を深く聞き、お店では何ができるかを聞く
・前職のよかった点、うれしかった経験などを細かく聞く
・自分の仕事の成果を上げる条件や環境についてどう思うか聞く
・過去の転職理由を聞く
・残業がどのくらいあるかを伝えて問題ないかを聞く
採用後のトラブルを避けるために
採用した直後から、お互い「話が違う」ということになると、これまでの苦労が水の泡になります。
特に、待遇に疑問を感じすぐに辞めてしまったら、それまでの時間とお金が全て無駄になります。
細かい内容や話しにくいような内容であっても、双方が慎重に確認し合っておく必要があります。
最低限、実行すべきことをここで紹介します。
①技術力をチェック
いくら経験年数が長くても、高い技術レベルを持っているとは限りません。
入客の数や前職場の技術レベルにより、技術は大きく異なります。
採用前の技術チェックは必ず行いましょう。
②採用通知書を渡す
面接時の「言った言ってない」を未然に防ぐために、採用決定時には雇用条件を記載した採用通知書を渡すようにしましょう。
③採用審査はある程度の時間をかける
いくら募集を急いでいても、簡単な面談だけで採用を決めるのは避けましょう。
説明不足のまま採用してしまうと、スタッフがすぐに退職してしまいます。
美容室を成長させる雇用戦略
スタッフの雇用形態は、美容室の成長にも関わるので戦略的に考える必要があります。
人を雇うと人件費が発生し、雇用形態によっては社会保険や手当を負担する義務も生まれます。
しかし、スタッフの働きやすさや金銭的な待遇にも配慮しないと、優秀な人材を確保することはできません。
そこでここでは、美容室の雇用形態について注意したらよいポイントを考えてみましょう。
雇用形態を決めるときの注意点
スタッフの雇用形態を決めるとき、様々なことを考慮しなくてはなりません。
なぜなら、スタッフの雇用形態を誤ると、職場への不満を高め離職率が上げてしまうからです。
スタッフが育たず辞めてしまえば、美容室を成長させることはできません。
美容室とスタッフの両者にとって最善の雇用形態を選択し美容室を成長させるためにも、まずはいくつかのポイントを押さえていきましょう。
①採用計画
スタッフの採用・雇用計画を決めるためには、まず美容室の中・長期ビジョンの計画を立てる必要があります。
美容室の将来計画が決まらなければ、必要なスタッフの数や技術・接客レベルを想定することができません。
②正社員
将来的に多店舗展開を計画している場合、自分のいない店舗を任せることができるスタッフが必要になります。
このようなスタッフについては、将来の美容室の中核を担う人材となるので、長期間かつフルタイムで働ける正社員として雇用した方がいいでしょう。
正社員には技術力・接客力はもちろん、スタッフマネジメントや店舗の運営管理能力も求められます。
また、美容室の事業理念や事業目標の共有や共感も求められますので、長期間かけて育成する必要があります。
長期的視点を持ち、現在能力が低くても将来期待しているスタッフについては、正社員として雇用し育成を進めていくのもよいでしょう。
③契約社員
美容師は技術職であると同時に、クリエイティブな力も求められます。
また接客業でもあるため、コミュニケーション能力も問われます。
そのため、短期間で求めている人材かどうか見極めることは非常に難しいといえるでしょう。
採用や教育には多額の費用がかかります。
貴重な資金を無駄にしないよう慎重に見極めたい場合は、契約社員として雇用するのもひとつの手といえます。
④パート社員・アルバイト
家事や子育てがある方など、労働時間がネックになり働きたくても働けない方もいます。
このような労働条件に制約のあるスタッフに対しては、フレキシブルに働くことができる環境が必要になります。
慢性的な人材不足に陥っている美容室業界では、パート社員やアルバイトで働ける即戦力のスタッフは非常に貴重な存在となります。
働ける環境さえ作ることができれば、美容室の成長・発展に大きな力を与えてくれる可能性があります。
⑤業務委託(面貸し)
美容室は独立するスタッフが非常に多い業種です。
業務委託は事業主と事業主の契約となるので、ひとつの独立の形ということができます。
技術者として非常に優秀で、独立志向のスタッフや自由な勤務スタイルを求めるスタッフについては、業務委託が合っている場合もあります。
人材が不足している中、優秀な人材を確保するのは非常に困難です。
美容室を存続・成長させていくためのひとつの方法として、業務委託も検討してみるといいでしょう。
雇用形態の選択は、美容室の将来を左右する非常に重要なことになります。それと同時に、スタッフにとっても人生を左右する重大なことです。
経営者は、スタッフ一人一人の将来のビジョンを十分にヒアリングし、スタッフにとってもベストな選択ができるよう心がけましょう。
そもそも、美容室が目指す方向とスタッフが目指す方向が違うなら、一緒に進んでいくことはできません。これでは双方のためにならないのです。
優秀なスタッフを採用するために
スタッフ採用は、こちらの都合ばかり押し付けていては上手くいくことはありません。
スタッフの特性や将来のことも考え、双方にとって良い結果を生み出せる環境を整える必要があります。
慢性的な人材不足に陥っている美容室業界では、優秀な人材を確保することは非常に困難です。
しかし、今は未熟でも将来優秀になる人材はたくさんいるでしょう。
教育も視野に入れて、人材採用を考えていきましょう。