車の運転から学ぶ、飲食店経営成功の秘訣

「いつか自分の店を持ちたい」飲食業界に関わっている人の多くは、この想いを持っていると思います。

置かれている状況に違いはあっても、将来に夢や希望を持ち「この業界で成功する」という気持ちは、みなさん同じでしょう。

しかし、毎年多くのお店が潰れたり、撤退を余儀なくされたりしているのもまた事実です。

 

総務省統計局のデータによれば、平成21年から3年間で全国の飲食店数は6万店も減少しています。

この間に新規出店したお店もあるので、潰れたお店の数は6万店よりもさらに多いということになります。

 

誰もが成功を夢見てお店を開いたはずなのに、成功する人と失敗する人がいます。

そしてデータを見る限り、失敗する人は少なくありません。

 

飲食店経営で成功する人と失敗する人には、どのような違いがあるのでしょうか。

このページでは、この違いを明確にし、あなたが開業したときに失敗しない秘訣を紹介していきます。

 

目次

成功者と凡人の間にある決定的な差

 

飲食店経営には見えない「壁」が存在します。この壁を乗り越えられる人は成功を手にし、乗り越えられずにぶつかってしまう人は失敗してしまうのです。

 

「食べること」は私達の生活になくてはならないものなので、飲食店経営はなんとなく簡単と思われがちですが、実際はそれほど単純なものではありません。

簡単と思われている分ライバルも多いため、逆にむずかしいビジネスだと思います。

 

開業するには資金や店舗物件が必要ですし、開業してからは集客やメニューのこと、スタッフのこと、お店や設備の維持のことなど、お店を続けていくために考えなくてはならないことがたくさんあります。

一つ一つは問題になるものではないかもしれません。

しかし、きちんと対処していかないと、それが見えない壁となりうまく進めなくなってしまうのです。

 

飲食店経営とドライブの意外な共通点

 

飲食店経営をドライブに例えて考えてみましょう。

ドライブをするのに免許を持っていなければ、事故を起こす可能性が高くなります。

また、ゴール地点や道順をきちんと確認していないと、目的地に到着しなかったり、時間がかかったりしてしまいます。

 

飲食店経営に現れる壁も同じです。

経営に免許はありませんが、知識がないと事故を起こす可能性が高くなります。

目標と計画が決まっていないと、方向性がずれ、どこに行ってしまうかわかりません。

考えもなく進んでいくと、壁に気付かず正面からぶつかって潰れてしまう、という結末を迎えてしまうのです。

 

ドライブの場合、壁は目に見えるので簡単に回避できますが、経営における壁は目に見えません。

そのため、壁の存在に気付かず、お店を潰してしまう人が非常に多いことは、3年間で潰れたお店の数が物語っているのです。

 

「ヒト」「モノ」「カネ」で最優先は何?

 

あなたも聞いたことがあると思いますが、経営には「ヒト」「モノ」「カネ」の、3つの経営資源があります。

そして、それぞれに壁は存在します。

 

例えば、雇っていた店長が突然辞めてしまった場合を考えてみましょう。

これは典型的な「ヒト」の壁の一つです。

 

店舗にとって大きな痛手であることは間違いないですが、割り切って考えると新しい店長を雇えば済む話です。

人を探す間は、オーナー自身が店舗に入ることで補うこともできます。

「ヒト」の壁は、乗り越えようと思えば乗り越えることができるのです。

 

「モノ」の壁も同様です。

店舗物件やお店のメニュー内容、食材、設備機器など「モノ」にも壁はありますが、選択肢はいくらでもあります。

工夫次第で乗り越える方法は、いくらでも見つけることができるのです。

 

「カネ」の壁も何とかなる?

 

では、「カネ」の壁はどうでしょうか。

 

例えば、「売上は上がっているのに、手元に現金がない」「お店は繁盛しているのに、なぜか儲からない」「銀行からお金が借りられない」「銀行への返済が間に合わなくなってきた」「多店舗展開するためもっと融資が欲しい」など、飲食店経営を続けていれば、「カネ」の壁もいろいろなところで現れてきます。

そして、この「カネ」の壁を乗り越えられないと、お店はいずれ潰れてしまいます。

 

「ヒト」や「モノ」の壁を乗り越えるためには「カネ」が必要になります。

従業員を雇うことも、食材を仕入れることも、設備に投資することも「カネ」がなければできないのです。

開業には様々な壁がありますが、「カネ」の壁が最も重要ということができるでしょう。

 

「ヒト」「モノ」「カネ」の関係性

 

開業において「ヒト」「モノ」は、あなたの夢を叶えるためのアクション部分となります。

例えば、どんなコンセプトでお店をつくるのか、どんな雰囲気にするのか、どんなスタッフが働くのか、どんな接客をするのか、何に投資をするのかなどは、店長やオーナーの個性が生きる部分です。

さらにこれらは、飲食店経営においては、店舗や会社の行く末を左右する大切な要素になります。

 

一方、「カネ」は、夢を叶えるために必要な土台となります。

どんなに素晴らしい夢をもっていても、倒産しない会社でなければアクションを起こすことはできません。

 

飲食店経営に限らず、ビジネスは投資と回収の繰り返しです。

そしてこの投資が、夢を叶えるアクション部分となります

経営を続けていくには、きちんと資金を確保して「カネ」の土台をしっかり固めた上で、投資を続けていくことがとても重要なのです。

 

つまり、「カネ」の土台がなければ、その上で「ヒト」「モノ」のアクションを起こすことはできないのです

 

「カネ」で失敗するヒトの共通点

 

これまでにたくさんの飲食店オーナーを見てきましたが、「カネ」の大切さに気付かず、ほったらかしにしている人がとても多いと思います。

反対に「カネ」の大切さを理解し、きちんと管理できている人が飲食業界で成功しています

経営に関しても一生懸命勉強しているからこそ、「カネ」に気がつくことができ、うまく乗り越えてこられたのでしょう。

 

これまで「カネ」に関して無頓着だった人も、きちんと向き合い勉強すれば、成功する可能性を飛躍的に高めることができるでしょう。

「カネ」に力を注ぎ、しっかりとした土台を作ることができれば、ちょっとやそっとのアクシデントでは倒れない会社をつくることができるはずです。

 

経営の運転免許書を持つための5ステップ

 

先ほど経営をドライブで例えましたが、車を運転するためには運転免許書が必要です。

運転の知識や技術を身につけて運転しないと、すぐに事故を起こしてしまうでしょう。

これは経営も同じです。

 

経営の知識や技術について何も知らないままお店をオープンしても、すぐに事故を起こしてしまうでしょう。

経営において、事故とは倒産のことです。

倒産しない会社をつくるためには、オーナーが経営の運転免許を持たなければならないのです

 

もちろん、経営の運転免許を発行してくれる教習所はありません。

そこでここでは、経営の運転免許として必要なことを、順を追って解説していきましょう。

 

①ゴールを決める

 

ゴールを明確にしなければ、進むべき方向もわかりません。

飲食店経営におけるゴールは、オーナーの描く夢の部分です。

自分がどんなお店をつくりたいのか、将来どんな経営者になりたいのかを、できるだけ具体的に描くようにしましょう。

 

多店舗展開を考えている人は、より具体的なゴール設定が必要となります。

なぜなら、規模が大きくなれば必要となる「ヒト」「モノ」「カネ」も大きくなるからです。

オーナーが具体的なゴールを示さなければ、ついてきてくれる人まで迷ってしまいます。

 

②道筋を決める

 

ゴールが決まったら、そこにどうやって辿り着けばよいか考えます。

地図を見ないで闇雲に走ると、途中で迷ってしまったり、行く手を壁にふさがれたりする可能性が高くなります。

 

飲食店経営でいえば、事業計画が地図に当たります。

もちろん経営は計画通りには行きませんが、ゴールを目指して計画的に進むことでリスクを減らすことができるのです

 

③自分のいる場所を確認する

 

道筋を決めたとしても、その通りに進んでいなければ意味がありません。

そのため自分の現在地を確認し、計画通り進んでいるか確認する必要があります。

こまめにチェックしておけば、道からずれてもすぐに修正することができます。

 

飲食店経営においては、事業計画と見比べながら業績や財務状況などをチェックするということになります。

もし大幅に計画とずれているようなら、計画の見直しや、計画に近づけるための対策を行わなくてはなりません。

 

④燃料のチェック

 

ガソリンが切れたら、車は止まってしまいます。

飲食店経営でいえば、「カネ」がなくなれば会社が倒産してしまうということです。

このような最悪の事態を防ぐためには資金繰りをチェックし、不足しそうなら早めに資金調達してお金を補充しなければなりません。

 

資金調達を行うとき、ほとんどの飲食店経営者は銀行の融資を利用すると思います。

そして、同じ融資なら少しでもよい条件で受けたいはずです。

ですが、よい条件で融資を受けるには、それにふさわしい会社になることが必要です。

 

⑤ルールを理解する

 

車の運転免許を取るためには、大前提として交通ルールを知っておかなければなりません。

これと同じように、飲食店経営でも様々なルールを知ることが大切です。

 

資金調達などの財務ルール、税金の税務ルール、労働基準法や社会保険などの労務ルール、会社法などの法務ルールなど、様々なものを知っておく必要があります。

 

各分野の細かな部分は専門家に任せることができますが、概要くらいは最低限把握していなければなりません。

専門家に丸投げでは、いざという時にまったく対処できなくなってしまいます。

 

飲食店を成功させるために

 

飲食店オーナーには、料理のことにばかり目がいき経営に無関心な方が多いように思います。

たしかに飲食店をオープンするなら料理は重要です。

だからといって、それだけではいけません。

 

お店をオープンするということは、会社を立ち上げることと同じなので、経営のことも料理と同じくらい重要なのです

 

飲食店経営で成功している人は、料理以外にも「カネ」のことや経営のことをしっかりと勉強しています。

だから壁が目の前に現れても、何とか回避することができるのです。

 

これこそ、成功している飲食店経営者の仲間入りをするための秘訣です。

あなたも自分のお店をオープンするなら、経営の免許をしっかり取るようにしてくださいね。

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この記事を書いた人

これまで、20代前半より8店舗のお店をオープンしてきました。銀行などから融資を受けることなく無借金で10年以上経営するも、自分の将来が見えなくなってしまったため、全て従業員や知人に売却。

その後、店舗の開業、店舗展開に携わり、これまでオープンしてきた店舗は100を超えます。

また、集客の専門家でもあるため、全国各地より『集客支援』の依頼が絶えず来ており、これまでサポートした個人事業主・企業様は500件以上となっています。

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