すべては普及率だ!
あなたは、モ-ドとファッションの違いをご存知でしょうか?
モ-ド、ファッション、スタイル、礼服という言葉の違いは、流行の順番を表したものです。
新しい様式が出てきたときが「モ-ド」で、やや時を経て世間に広がった状態が「ファッション」と呼ばれます。
さらに時を経て大多数が採用すると、これが「スタイル」。
そして、スタイルとなったものの一部は最後には日常生活とほとんど無縁の「礼服」となり、次第に社会から消えていきます。
例えば尾崎紅葉の金色夜叉で、間貫一が熱海の海岸でお宮を蹴飛ばした時に着ていた学生服は、当時それこそキザと言われるモードでした。
ですが大正時代になると、胸に五つの金ボタンは粋なファッションとなりました。
以後昭和に入って学生数が増え、ほとんどの学校が学生服を採用するに及んでは当然のスタイルとなり、昭和30年代までは学生といえば学生服を着るものと相場が決まっていたのです。
だが現在、どこの大学のキャンパスに出かけて行っても、学生服姿を見つけることは難しいですよね。
どうにか神宮球場の応援団席で見つけることができるのがせいぜいです。
学生服は応援団の晴れの舞台の礼服となりました。
学生服のような長期サイクルを挙げましたが、もっと短期のサイクルでも流行は必ずこの順番をたどリます。
この経過はひとり衣料品の流行のみに限ります。
すべての文化(経済学の見地から言えば消費財)は皆この経過をたどっていきます。
5種類の人間の法則
ところでこういった商品の流行現象 5消費者心理に基づいて観察したのが、エベレット・M・ロジャ-スでした。
彼は商品経済の立場から消費者の購買行動を観察し、人間を5種類に分類し他のです。
商品開発に関してまことに有効な人間観察の方法だから、これから起業を考えている人にはアイディアの一端になるかもしれません。
ロジャースが5種類に分けた人間の第一種は「イノベ-タ-」と名付けられています。
挑戦者あるいは革新者のことを言います。このグループは、全体の2.5%くらいです。
40人に一人といったところである第二種は「アーリ-・アダプタ-」。
直訳すれば、初期採用者。別名オピニオンリーダーともよばれます。
このグループが 13.5%。
次は、フォロワ-、つまり大衆だが、これはさらに二つに分類されます。
一つは第三種の「ア-リ-・マジョリティ-」、
すなわち初期多数者で、このグループは34%。
もう一つは第四種の「レイト・マジョリティ」でこのグル-プも34%います。
つまり、フォロワ-全体では68%ということになり、非常に数が多いのが特徴です。
最後に第五種は「ラガ-ド」、直訳すれば遅行者ですが、伝統主義者と言ったほうが、分かりやすいですね。このグル-プが16%います。
5種類の人間の行動パタ-ンとは?
5種類の人間はそれぞれを象徴する言葉を好んでいます。
第一種イノベ-タ-:「挑戦」「創造」「個性」といった言葉を好むことに表れている。
第二種ア-リ-アダプタ-:「社会的尊厳」といった言葉を好むことに表れている。
第三種:ア-リ-・マジョリティ-:「コンセンサス」といった言葉を好むことに表れている。
第四種:レイト・マジョリティ-:「慎重熟慮」といった言葉を好むことに表れている。
第五種:ラガ-ド:「伝統」といった言葉を好むことに表れている。
それぞれを少し説明すると、イノベ-タ-は常に新しいものに挑戦し、独創的なことを楽しむ人たちのことであり、まだ誰もやっていないことをあえてやるから当然社会には少数派です。
その人たちは、一般的に個性的といわれています。
ア-リ-アダプタ-は、社会的評価が生きがいだから、交際範囲は非常に広くなります。
読書傾向は、専門書も一般書も幅広く読み情報のいち早い収集に努めます。
ただし、ア-リ-アダプタ-は、社会のリ-ダ-たることが生きがいであり、自分にみんなが付いてくるのが嬉しいタイプです。
ア-リ-・マジョリティ-は、新しいものを採用するとき、他の人たちがついてこなかったら恥ずかしいから、最初にはしません。
しかし、古いものを捨てるときも、自分だけが取り残されるは恥ずかしいから、最後であってもいけません。
無難第一、常に真ん中あたりで行動するのが信条なのです。
レイト・マジョリティは、波風立てないことを旨とし、変化に対して自分が当事者になることは、恐怖に近い感覚を持っています。
交際範囲が狭く、気心の知れた人と付き合い、必然的に変化に対しては鈍感です。
ラガ-ドは、交際範囲が極端に狭く、ラガ-ド同士、あるいは、身内に限られることが多いのが特徴です。
念のため付け加えておくと、以上のどれが良くてどれが悪いということではありません。
どれが賢くてどれが愚かということでもありません。
人間はその様な行動をする5種類に分けられるということです。
大切なこととして、ア-リ-アダプタ-は、ひとつの流行が広がっていく過程で重要なポイントを握っているということです。
7%の壁の存在
普及率が7%の壁を超すか超さないかで、その商品がアイディア倒れに終わるか、社会全体に普及し必需品になるかで命運が決まります。
そして、この7%の壁を超えるかどうか、そのキャスティングボ-ドを握るのがア-リ-アダプタ-なのも事実です。
このグル-プが採用するかどうかが、次の第三種、第四種人間つまり70%近くいるフォロワ-の動向を決定していくことになります。
そのため、新しい流行を普及させるためには、このグル-プの存在がどう動くかが重要なのです。
『参考文献:すぐに未来予測ができるようになる62の法則』より