「生命保険で退職金の積み立てをしませんか」
「生命保険で役員退職慰労金の財源確保をしてはいかがですか」
経営者であれば、このような話が一度や二度はあったかと思います。
これは、一定の生命保険において損金で経費処理し、その後満期償還に収益の処理をするといった手法が認められているためです。
損金計上して節税に取り組む
ずいぶん前の話になりますが、長期障害保険制度というものが大きくもてはやされました。
この制度は高返戻率(払い込んだお金に対する解約返戻金の割合)で、100%損金計上ができるものでした。
不安定な経営を続けている中小企業の経営者にとって、大きな助けとなる商品だったので加入者が増大したのです。
長期障害保険が100%損金ではなくなってからは、定期逓増保険制度というものが出てきました。
これも、長期障害保険と同様に、高返戻率で100%損金計上という同様の内容の場合もあります。
しかし100%損金のケースは少なく、ほとんどが50%かそれ以下の損金計上に変更となっています。
加えて、法人が支払う「がん保険(終身タイプ)」が出てきました。
これは長期傷害保険などのように、高返戻率ではありません。
しかし、100%損金計上できるということで、外資系保険会社を中心にたくさん販売されたのです。
がん保険に関しては生命保険と異なり、一個人にかけられる掛金の額が小さく大きな節税には不向きでした。
しかし、従業員向けの退職金積み立てといったケースでは有効だったのです。
このように、保険でも節税することが可能です。ここでは、節税に繋がる保険について紹介していきます。
生活障害定期保険
法人向けがん保険の保険料取扱いについての法令解釈通達が出て、損金計上が50%となりました。
これを受け、「100%の損金計上の保険商品はない、その手の営業は怪しい」などと言う保険会社の営業マンもいます。
しかし、生活障害保障型定期保険もしくは就業不能保障プランという商品は100%損金計上出来ます。
国内生命保険会社の一社と、外資系生命保険会社の三社で販売されています。
生活障害定期保険の仕組み
生活紹介定期保険は、保証期間内に死亡するか生活障害状態になった場合、保険金が支払われる保険です。生活障害状態とは、所定の要介護・要介助状態に該当した場合のことを言います。
各保険会社によって基準は異なりますが、おおむね生活障害状態が180日間継続したとき、所定の脳卒中や心筋梗塞と診断され、60日以上の労働制限や言語障害等が発生した場合に保険金が支払われます。
契約対象
各保険会社によって異なりますが、基本的には法人向けとなります。
保険料と解約返戻金
原則として、契約時に決められた保険料を払い続けることになります。
基本的には、途中で引き上げられることはありません。
解約返戻金があり、満了時には0になります。
逓増定期保険やがん保険ほどの高い解約返戻金ではありませんが、ピーク時におおむね七割程度の解約返戻金があります。
その他生命保険
逓増定期保険やがん保険は50%の損金処理になりました。
しかし、定期保険の中には100%損金計上を行うことができるケースもあります。
長期平準定期保険
保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超える。
保険に加入した時における被保険者の年齢に、保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超える。
この二つの条件を満たす場合、支払保険料の50%に相当する金額が資産計上できます。
逓増定期保険
保険期間満了の時の年齢により、資産計上できる割合が異なります。
・保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超える場合、支払保険料の50%に相当する金額が資産計上できます。
・保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超え、保険に加入した時における被保険者の年齢に、保険間の2倍に相当する数を加えた数が95を超える場合、支払保険料の3分の2に相当する金額が資産計上できます。
・保険期間満了の時における被保険者の年齢が80歳を超え、保険に加入した時における被保険者の年齢、に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が120を超える場合、支払保険料の4分の3に相当する金額が資産計上できます。
このように、保険の種類や被保険者の年齢によって、100%損金計上か50%損金計上か異なります。
それなら全額損金計上できる保険の方が都合はいいのです。
しかし、解約返戻率が低ければあまり効果がないということで、わずかな保険会社でしか取り扱っていません。
いかがでしたでしょうか。保険も有効に活用すれば、節税に役立てることができます。
活用できそうなものがあれば、ぜひ活用してみて下さい。
利益を出しても、多額の税金を取られては安定して会社を経営できないでしょう。
上手に節税することが、上手く経営するコツとも言えるのです。