店舗を増やすならマネジメントに注意!!

飲食店経営で成功したいと願うあなたは、将来たくさんの店舗を持ちたいと考えているかもしれません。

飲食店経営で成功するためには。1店舗よりも2店舗、そしてさらに拡大していく攻めの姿勢も重要となります。

経営する店舗が1店舗だけの場合、売上の限界も低いため思うような収入が確保できないかもしれません。

 

また、その店舗に問題が生じると、たちまち収入がストップしてしまいます。

店舗を増やすことは、経営の守りを固めるという面から見ても必要なことなのです。

 

目次

多店舗展開の前に立ちはだかるマネジメントの壁

 

店舗が増えてくると、店舗が少ない頃にはなかった問題が発生します。

その一つが、マネジメントの問題です。店舗数が少ないうちはオーナーの力だけで乗り切れていたことが、店舗数が増えるとうまくいかなくなるのです。

この問題は、おおよそ5店舗を越えるあたりから発生しはじめます。

そこでこのページでは、鬼門とも言える5店舗の壁を突破するため、どのようにマネジメントをしていけばいいか解説していきましょう。

 

店舗展開の命運はマネジメントにより分かれる

 

経営には「ヒト」「モノ」「カネ」の3つの要素がありますが、このすべてにマネジメントの意識を持ち自社の経営を行わなくてはなりません。

5店舗を越えてくると、マネジメント無しでは長く経営することは難しいでしょう。

しっかりとした目標や夢を設定し、その実現に向けてマネジメントする仕組みを整えなくてはなりません。

 

例えば、「ヒト」と「モノ」について考えると、1店舗ならすべてを自分の目の届く範囲で管理できます。

23店舗に増えたとしても、なんとか自分で管理することは可能でしょう。

 

しかし、5店舗を超えてくると、「ヒト」も「モノ」も多くなり、自分一人ですべてを把握することは困難になります。

それでも問題を起こさず経営していくためには、自分が把握しなくても店舗の運営が滞らないマネジメントの仕組みが必要となるのです。

 

また「カネ」についても、きちんとマネジメントできる能力が求められます。

独立開業し1店舗目を開業する時点から、「カネ」はとても重要な要素ですが、5店舗以上ともなればより一層、経営者としての自覚をもたなければなりません。

 

なぜなら、店舗が増えればリスクは高まります。

出店した店舗すべてが、開店直後から順調なら問題ありませんが、実際はそんなことはありえません。

赤字の店舗があれば、他の店舗の利益でカバーしなくてはならないのです。

 

資金調達力の強化が第一目標

 

店舗の数が増えれば、その分お金も必要になります。

しかし、比較的融資を受けやすい信用保証協会の保証付き融資には限度額があるので、いつかは利用できなくなります。

多店舗展開を考えるなら、いつか限度額を超える金額を融資してもらう必要がでてきます。

その時は、銀行からプロパー融資の利用を検討しないといけません。

 

プロパー融資とは、銀行が独自に実施する通常の融資のことです。

プロパー融資は、経営の状況や経営者本人の資質などによって条件が変わります。

少しでも有利な条件で資金調達するためには、あなたの経営者としての資質が問われるのです。

まず、あなたが自らきちんと「カネ」と向き合い、管理できるようにならなくてはなりません。

 

「計数管理」で横領を防ぐ

 

店舗数が5店舗を超えてくると、すべての店舗に目が届かなくなります。

この状況をマネジメントする方法の一つに、「計数管理」というものがあります。

計数管理とは、お店の売上や利益などの数字を見て経営状況を管理する方法です。

計数管理の方法をしっかりと覚え、どんぶり勘定は卒業してしまいましょう。

 

どんぶり勘定からの卒業

 

計数管理を取り入れず、いつまでもどんぶり勘定で経営を行っていると、社員にお金を横領されてもなかなか気がつくことができません。

例えば、5店舗の売上を全て自分でみているとします。

すべての店舗を回るわけにも行かないので、売上は電話で毎日確認していました。

話を聞く限りでは、全店舗同じような売上高のため順調なようです。

 

しかし、しばらくするとなんとなく資金繰りが苦しくなります。

そこで各店の売上金の入金状況を確認すると、1店舗だけ入金額が極端に減っていたのです。

このように、毎日売上金をチェックしていないと横領されても発見が遅れてしまうのです。

 

計数管理を行うと、横領を早期発見することができます。

計数管理は、各店舗の売上や仕入れなどを、帳簿の数字できちんと管理する方法なのです。

 

例えば、売上が下がってきた店舗があるとします。

しかし、材料費などはこれまでとまったく変わりません。

これはおかしいですよね。

売上が下がれば、当然仕入れも下がるはずなのです。

 

このように、計数管理で数字を管理していれば、おかしなことにすぐに気がつけるようになります。

例え社員が出来心で横領したとしても、大きな損害を出さずにすむのです。

 

多店舗展開に「計数管理」は必須

 

どんぶり勘定で経営していたとしても、自分の目の届く範囲であれば、なんとかやっていけるかもしれません。

しかし、店舗が増えると毎日お店に顔を出すことは不可能です。

どんどんお店の従業員のことや、お金の状況が把握できなくなります。

こうした目の届かない隙間に、大きな落とし穴が潜んでいるのです。

 

多店舗展開を考えているなら、自分の目が届かなくなることを心配しなくてはなりません

そして、目の届かない分、帳簿の管理をしっかりする必要があるのです。

数字はとても正直です。

 

お店に顔を出せなくても、増えたり、減ったりという変化はすぐにわかります。

数字の変化を掴むことができれば、横領などの被害も最小限に抑えることができます。

5店舗以上に拡大することを考えるなら、計数管理などを通してお店の状況をマネジメントしていくことがなにより重要となります。

 

不正予防の観点から考えると、POSシステムなどを導入することも有効です。

よくある不正が、伝票をレジに入力せず、お客様からいただいた現金を入金しないというものです。

POSシステムなら注文時点でデータが入力されるため、このような不正を未然に防ぐことができるようになります。

 

もちろん、POSシステムを導入しても、不正が発生しないよう管理をしていくことは大切です。

こうした犯罪者をつくらない職場の環境づくりも、経営者の大切な仕事といえるでしょう

 

試算表を使い数字の感覚を磨こう

 

計数管理でお店の状況を把握することの大切さは、分かっていただけたでしょうか?

そこでここからは、実際にどのようにして状況を確認するか説明していきます。

 

計数管理を実施するために活用されるのが試算表です。飲食店に限らず事業をはじめると、年に一度決算書を作成することになります。

決算書は年間の業績や経営状況などを読み取るものですが、試算表は毎月の業績や経営状況を読み取るために用いられます。

 

数字が苦手だからと、決算書の作成を税理士に任せきりの経営者もたくさんいますが、それではいつまでたっても「カネ」をマネジメントすることができません。

試算表は月次集計で作成するので、年に一度の決算書よりも目にする機会も多いですし、決算書の数字を見る目を養う練習にもなります

 

なにごとも、練習しなければ上達しません。

これは数字も同じです。

試算表も見てみないことには、何がわからないかもわからないのです。これが慣れてくると、だんだん数字から今の状況が感じ取れるようになってきます。

ぜひ関心をもって、帳簿や試算表を見るようにしてみてくださいね。

 

あなたの仕事が一気に楽になるアウトソーシング活用術

 

飲食店を開業すると、経営者は毎日大忙しです。

特に多店舗展開をすると、毎日やることが山積みで休むことすらままならないかもしれません。

しかし、1日は24時間すべての人に平等です。

与えられた限りある時間を有効に活用し、お店を拡大していかなければならないのです。

経営者自身のマネジメントも、多店舗展開を目指す上では重要なポイントとなります

 

時間を有効に活用する

 

経営者になると毎日仕事が山のようにありますが、経営者がやるべきでない仕事に追われてしまっている方も中にはいらっしゃいます。

例えば、単純な事務作業もこの中の一つです。

少しでも経費を抑えるために、営業時間の合間や閉店後に事務作業を自分でする経営者は少なくありません。

しかし、もともと社長さんは、事務作業が苦手という方が多いので、これが大きな負担になっているケースが多いのです。

 

このような状態で、大きなビジネスチャンスが転がり込んできたらどうなるでしょう。

せっかくのチャンスですから、多くの時間を割き準備をするでしょう。関係者と打ち合わせをしたり、アイデアを考えたりさらに仕事は増え、睡眠時間は削られます。

下手をすると、最後には過労で倒れてしまうかもしれないのです。

 

このような事態を防ぐために、単純な事務作業はアウトソーシングしてしまった方がよいでしょう

経理作業や給与計算、支払関連の事務処理は外部に任せてしまえば、あなたは処理結果の報告を受けるだけでよくなります。

 

こうすることで、突然大きなチャンスが転がり込んできても、余裕を持ってアイデアを考えるなどの準備ができます。

そして、余裕がある方がよいアイデアが生まれるものなのです。

 

抱え込み経営は危険

 

特に店舗数が増えていけば、雑用のような仕事もどんどん増えていきます。

事務一つとっても、経理作業や領収書・請求書の整理、給与計算、給与明細の作成、仕入れ、給料の銀行振り込みなど、その内容は多岐にわたり、店舗数が増えれば処理する量も増えます。

それをオーナーが自分でやれば、忙しさに拍車がかかってしまうのです。

 

計数管理をするために、お店のお金の流れを見ることはとても重要です。

しかし、数字を管理することと自分で事務処理をすることはまったく違うことです。

 

日々煩雑な作業に追われていると、今後の会社の方針を考えるという、経営者として最も重要な仕事ができなくなります

さらに、忙しさから体調を崩していては意味がありません。

 

管理と事務処理を上手に切り離しておけば、あなたの目標を達成するための計画を練る時間もとれるでしょう。

また、突然のビジネスチャンスも十分活かすことができるのです。経営者は、自分の時間を最大限に有効活用できるようマネジメントしなければなりません。

 

 

実はお得なアウトソーシング

 

「外注するなんて経費がもったいない」と考える人もいますが、仮に自分で事務処理をして5万円節約できたとしても、その作業に11時間かかれば、時給1600円の仕事をしているのと同じなのです。

経営者がこのような価値の低い仕事をしてはいけません

多店舗展開を考えているなら、将来大きな利益を生む仕事に力を使わなくてはならないのです。

 

誰でもできる仕事をアウトソーシングすることで、時間を確保することができます。

その時間で、店舗全体の管理や新規出店の商談など、未来につながる投資を行うことで大きな利益を生み出すことができるでしょう。

このような考え方を身につけることも、経営者として成長する1つのプロセスといえます。

 

また、アウトソーシングはもったいないと思われがちですが、実際は経費の削減につながることもあります。

例えば、経理だけ行う社員を月給20万円で雇っているとします。

経理業務を一括でアウトソーシングする場合、大体の相場は10万円です。

つまり、経理のための人を雇うよりアウトソーシングした方がコストは安くすむのです。

 

さらにアウトソーシングした場合、経理社員が辞めたときの引き継ぎや採用コストもいりません。

目に見える経費削減以上に、様々なコストメリットが得られるのです。

 

また、アウトソーシングするということは、プロにお願いするということです。

経理の社員に比べ、確実な仕事が期待できます。プロの目を通すことで、削減できるコストが見つかることもあるでしょう。

アウトソーシングすることで、様々なメリットを得ることが出来る場合もあるのです。

アウトソーシングを敬遠するのではなく、会社経営にとってどの方法が一番有効か、検証しなくてはいけません。

 

自分へのご褒美はどうする?

 

どんどん店舗展開の規模が大きくなると、その分扱うお金も大きくなります。

銀行から借り入れたお金でも、儲けたお金でも、目の前に現金があると使いたくなるものです。

ここまで頑張ってきた自分にご褒美をあげたくもなるでしょう。

 

しかし、そのお金を考えなしに使ってしまうと、会社の状況にも影響してしまいます。

自分へのご褒美は、個人の報酬からあげなくてはいけません。

 

個人経費の扱いを考える

 

多少の金額なら、会社のために個人で使ったお金を経費にすることで節税に繋がります。

しかし節税になるからといって、あまりに大きな金額を会社の経費として処理していると経営を圧迫しかねません。

 

例えば、高級賃貸マンションを会社名義で借りたり、高級車を社用車としてリースしたりしている方もいます。

しかし、このような出費が増えると会社の利益は目減りして、資金繰りも苦しくなります。

これでは、さらに店舗を拡大することはできませんよね。

 

今よりさらに店舗を拡大しようと思うなら、会社と個人のお金は別ものとしなければなりません

会社に現金の余裕をつくり、売上も順調なら銀行の融資もスムーズに決まるでしょう。

その気になれば、自己資金のみで出店することも可能かもしれません。

会社のお金は会社のものと考え、現金に余裕を持たせることが多店舗展開する上では必要となるのです。

 

公私混同は経営を圧迫する

 

経営が順調だからといって、個人の経費を会社に負担させていると、徐々に利益を圧迫してきます。

利益が少ない経営を続けていると、いつまでたっても融資の条件が良くなりません

最悪の場合、財務状況が悪化し銀行からの借り入れも難しくなるのです。

 

こうなると、会社も個人も両方ダメージを受けることになります。

店舗が少ない頃は、多少の公私混同は仕方がない部分はあります。

しかし、いつまでもその癖が抜けないと、多店舗展開に大きな影響を及ぼしてしまうのです。

 

多店舗展開を目指すなら、経営者が個人と会社の線引きをしっかり自覚し、純粋に会社を伸ばしていく姿勢が重要です。

まずは一定のラインまで利益をしっかり積み上げていき、財務基盤を整えることに力を注ぎましょう。

そして、会社の規模が大きくなり、その中でリターンを十分に得られるようになったなら、個人としてのメリットを楽しんでください。

 

この順番を間違えると大変なことになります。

十分な財務基盤が整わないうちに安易にお金を使っていると、いつトラブルで現金がなくなるかわからないのです。

多店舗展開という大きな夢を実現するのに、自分がネックになっていてはいけません。

会社の財務体質を整え、有利な条件で必要なだけ資金調達のできる会社を目指してください

 

多店舗展開を目指す経営者へ

 

多店舗展開を進めていくと、店舗が少なかった頃には考えられなかったことが次々と起こります。

何か起こってからあわてて対処するのではなく、あらかじめ起こり得ることを想定しておくことも必要でしょう。

早め早めに対処することで、トラブルを減らすことができるのです。

 

経営する店舗が増えてくると、マネジメントは必須になります。

ぜひ、多店舗展開する前からマネジメントのことも意識しておいて下さい。

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この記事を書いた人

これまで、20代前半より8店舗のお店をオープンしてきました。銀行などから融資を受けることなく無借金で10年以上経営するも、自分の将来が見えなくなってしまったため、全て従業員や知人に売却。

その後、店舗の開業、店舗展開に携わり、これまでオープンしてきた店舗は100を超えます。

また、集客の専門家でもあるため、全国各地より『集客支援』の依頼が絶えず来ており、これまでサポートした個人事業主・企業様は500件以上となっています。

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